2022年11月26日土曜日

最近の DCG 界隈の現状について

この記事は「なぜゼノンザードはサービス終了してしまったのか」の続編である。あの記事から時が経ち様々なニュースがあった。

まず、ハースストーンやシャドウバースがなぜ生き残っているのか考えてみよう。
これは確実に先行者利益である。パズドラやモンストが現代でも生き残っているのと同じようなものだ。

新作 DCG も一時的には話題になるがすぐに廃れてしまう。一ヶ月ほど経つとゲーム性は分析されきってしまい、飽きたユーザーは元のゲームに戻っていくのだ。
既存のゲームは最初は当然粗があったもののリリースから時が経った今では完成されており、新作ゲームは独自の魅力がいくらあっても大概未完成である。
さらに新作ゲームはいつでもサービス終了の危険性がある。長年運営されたゲームのほうが安定しておりサービス終了の可能性は低いことだろう。

しかし、既存の DCG では満足できずわざわざ危険なマイナー DCG を漁る愛好家というのも存在する。
既存のゲームで満足できない場合、確かに新作ゲームを触っていく他ないであろう。
そして、そのユーザーとなるのは同じメンツである。
サービス終了したゲームに強い思い入れがあるため、サービス終了したあとも DCG ゾンビとなる可能性は高い(※ 1)。

2021 年にドラゴンクエストライバルズがサービス終了してしまった。巷では未だにライバルズゾンビを見かける。
悲しいことだが、ライバルズのサービス終了は仕方がなかったように思う。
ライバルズはドラクエという日本最強クラスの IP を使ってでさえ DCG の中堅ポジションであった。
そもそも試合時間の長さがカジュアル勢の離脱を生み足を引っ張ったのだと私は考える。何しろ DCG の中でもトップクラスに試合が長い。
スマホでできる手軽さはどこへやら、1 試合に 15 〜 20 分ほどかかるのである。これはよほどのファンしかやらないであろう。
更に、ドラゴンクエストライバルズは人口減が原因か収益性にも問題を抱えていた。デッキの核となる勇者カードの生成不可はそのために行われたと考えられる。
その後、ドラゴンクエストライバルズはソロモードの充実によりカジュアル路線を強化しようという賭けに出た。
それと同時に勇者カードが作成可能となったのは露骨とも言える。その路線が失敗してサービス終了になってしまったのだろうと私は見ている。

DCG の生き残り策として、既存カードゲームのデジタル化が一定の成功を収めている。これはなぜだろうか考えてみることにしよう。
DCG はカジュアルユーザーの取り込みに失敗している。残ったのは DCG コアユーザーだが、それだけでは売り上げはたたない。
そして目をつけられたのが「既存カードゲームの(元)ユーザー」である。
彼らはカードゲームの素養があり、年齢層も高めで金の払いもよく、未開拓の新たな DCG ユーザーとなりえたのだ。
成功は必然といえる。そのかわりに、オリジナル DCG はほとんど消滅することとなった。
紙のカードゲームを駆逐するかに思えた DCG が紙のプレイヤー頼みとなっているのである。DCG のある意味で敗北であるといえる。

最近、めっきり DCG の成功は聞かなくなったように思う。新作ゲームが国内で開発されることはなくなった。海外製作の DCG が少数日本に入ってくるようになった程度だ。
もちろん新作 DCG のほとんどは苦戦している。

2022 年の初頭にマスターデュエルがリリースされた。このゲームは待望の現代遊戯王のデジタル化を実現したゲームでありその完成度も高い。
マスターデュエルのリリースによりデユエルリンクスの人口がかなり減っていたようなので、本物の遊戯王をデジタルでやりたいという一定数のニーズは元々あったと考えられる。
マスターデュエルの問題点は現代遊戯王であるということそのものにあるだろう。あまりにゲームが複雑で 1 ターンが長い。
充実したカードゲームを楽しめると考えると聞こえはよいのだが消費カロリーが多すぎるように感じた。
それはまるでカードゲームのフルコース料理を楽しんでいるような濃さなのだ。

私はマスターデュエルを長くプレーすることで、なぜ DCG がカジュアル層に受けが悪いかの本質が分かったように思う。
ゼノンザードはカードゲームを AI 任せにすることでストレスを軽減していただけだったのだ。
だからこそ私がずっと続けることが可能であったが、問題の本質は変わっていない。
その濃いカードゲーム体験に耐えられるのは、それこそ競技勢しかいないだろう。そしてそれはゲームの衰退をも意味している。

2022 年 8 月、spellslingers がリリースされた。
MTG を簡略化し DCG に落とし込んでいる、プレインズウォーカーの個性、多色が使えるようになっているなど独自の個性を持っているのはとてもよいと思う。
ただしゲームとしてよくできていても、二番煎じであることは否めない。更に spellslingers を触っているユーザーは MTG 出身ばかりで MTGA に戻っていく傾向が強いようだ。
MTG の IP 自体が弱いということ(※ 2)、頻繁なバランス崩壊、収益性の低さ、フリーマッチすらないという機能不足を見ていると今後に不安が残る。

2021 年から 2022 年、DCG の閉塞感があった現状に颯爽と現れたのが新星「マーベルスナップ」である。
マーベルスナップは既存の DCG としてとても異質であり、アンチテーゼであるとすらいえる。しかし、私はマーベルスナップに期待をしている。
あまりに記事が長くなってしまったので、マーベルスナップについては次の記事へと譲ることとする。

※1: 例として、ウォーブレゾンビ、DXM ゾンビ、ライバルズゾンビ、ゼノンザードゾンビ、COJ ゾンビなどが存在する。

※2: もう私は断言してしまうが、MTG の IP としての力はとても弱い。「カードゲームとして」 MTG に魅力があるだけである。
IP の魅力を純粋に育てることは困難であり、既存のヒットしたゲームの IP を流用しても爆死するという例は枚挙にいとまがない。
その IP そのものが魅力的であるかどうかは外伝作品やコラボ作品がどれだけヒットするかで判断することが可能である。
IP を育てるのが一番うまいのは任天堂である。IP を育てたいなら任天堂を見習うべきだと私は思っている。

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