2012年5月27日日曜日

x86勉強会#2のスライドを公開しました(補足付き)


昨日(5/26)はx86勉強会#2でした。
他の人の発表内容については、他の人のブログ記事に期待するとして、私は当日の
発表スライドを公開しようと思います。

------------------------------------------------------------------------------------------

第一部:帰ってきたvinarise : Vim X バイナリ = 最強   (二ヶ国語放送)

# はじめに

* 今回のスライドは世界初!?(バイナリ/日本語)の二ヶ国語放送でおおくりしています。
* つまり、日本語よりバイナリのほうが堪能であったとしても大丈夫
* バイナリアンにやさしいプレゼンテーションです
* スライドの再生にはvinariseを使用しています(セルフプレゼンテーション)
* vinariseはプレゼンテーションツールだったんだよ!(な、なんだってーーAA略)

# 自己紹介

* 知っている人も多いと思いますが……。
* Shougoです。
* 伝説的なプレゼン「Vim = VM」
* Twitterでは@ShougoMatsuとして活動しています。
* 「迷言:Vimは家族」
* Blog : http://vinarian.blogspot.com/
* Vim大好き
* Vim病にかかって4年経ちますが、日々症状は悪化しています
* Vim勉強会以外にもたまに出没する(たとえばこの勉強会とかね!)
* 今日はx86/Vim勉強会と聞いてきました

# vinariseとは?

* Vim上で動作するバイナリエディタプラグイン
* ブイナライズと発音する
* 名前の由来は、Vim + Binary + Analyse
* ただのバイナリエディタではない。解析ツールを目指す。
* 全く宣伝してないのに、外国のユーザが居たりする。よく分からない。

# なぜvinariseを開発したのか?

* テキストエディタはバイナリファイルくらい開けないといけない
* Vimにはxxdがある。しかし機能がショぼい
* Vim pluginと連携したい
* 日本語対応させたい
* 巨大ファイル開きたい
* じゃあ自作するしかない(死亡フラグ)
* Emacsのhexl-mode?なにそれおいしいの(正直比較にならない)

# vinariseの特徴

* マルチプラットフォーム
* 巨大ファイルを開ける
* 日本語ファイル対応
* ビットマップビュー
* プラグインで拡張可能
* バイナリファイル自動認識

# Emacs hexl-modeとの比較(ネタ)
* hexl-modeは数十メガバイトのファイルを開くとフリーズ
* hexl-modeは日本語に対応していない(外国産のバイナリエディタにありがち)
* バイナリエディタとしての機能が圧倒的に足りない
* ぶっちゃけ、xxdにGUIを付けたような(以下自主規制)

# vinariseの歴史
* 昔はxxdを使っていた
* 2010年5月頃 Kernel/VM勉強会でバイナリアンに興味を持つ
* アイディアを収集しながら作成開始
* 2010年8月頃 x86勉強会 #1で披露する
* 協力者が徐々に集まる
* 長い停滞(やる気なし)
* 2011年9月頃 Vimテクニックバイブルにvinariseのことをちょっとだけ載せる
* さすがに開発しないと詐欺と思われそう
* 2012年1月頃 開発再開する
* いろんな機能を付け、当初のものとはほとんど別物に
* 現在に至る

# vinariseのインストール方法

* githubから取ってきましょう。
* 今ならneobundleを推奨
  NeoBundle 'Shougo/vinarise'
* VimのPythonインタフェースが必須
  あなたのVimを:echo has('python')で確認してみましょう。

# vinariseの簡単な使い方
* A: ファイルをVimで開き、:Vinarise

* B: :Vinarise {ファイル名}

# vinariseの機能
* マルチプラットフォーム
* 巨大ファイルを開ける
* 日本語ファイル対応
* ビットマップビュー
* プラグインで拡張可能
* Vim pluginとの連携
* バイナリファイル自動認識

# 巨大ファイルを開ける
* vinariseはメモリマップを利用して、1GB程度の巨大ファイルを一瞬で開くことができる
* xxdやEmacs hexl-modeでは無理
* ghexでイメージファイルを開こうとしたらフリーズしました……
* bviや大半の外国製バイナリエディタでは無理
* 大事なことなので三回説明した
* ちなみに、バッファは現在見ているところしか行を生成しない
* Vimは行が多かったりすると重いが、vinariseは脅威のVim scriptテクノロジーによっ
 て重くない
* デモ:Ubuntu 12.04 LTS 日本語Remix CD(700MB)を開く

# マルチプラットフォーム
* Windows界では需要のおかげか、バイナリエディタがたくさんある
* しかし、Mac界やLinux界には不足している
* vinariseは基本的にVimとPythonさえ動作する環境ならどこでも動作する
* 他のバイナリエディタに対する圧倒的アドバンテージ!
* Androidでも動作する……とよいですね(未確認)

# 日本語ファイル対応
* vinariseはもちろん日本語ファイルを開くことができる
* 対応エンコーディング:UTF-8, UTF-16BE/LE, cp932, EUC-JP
* ただし、初期はASCIIモード
* Eを押してエンコーディング形式を指定する
* :Vinariseの引数 --encoding=で指定してもよい
* 実装はかなり頑張ったので、日本語ファイルだから遅くなるということはない
* デモ:vinariseで日本語ファイルを開く

# ビットマップビュー
* みんな大好きなビットマップビューにも対応している
* Vimで目grep! みんなの夢
* 使い方はvinariseのバッファで":VinarisePluginBitmapView"コマンドを実行するだけ
* GVimだとフォントが小さくなり、よりそれっぽくなる
* ASCII, コントロールコード, マルチバイトコードを判別
* デモ

# プラグインで拡張可能
* vinariseはプラグインによる拡張機能がある
* 実際に、s_yukikazeさんによりPEを解釈するプラグインが作られている。
  https://github.com/s-yukikaze/vinarise-plugin-peanalysis
* いろいろ忙しくて、プラグインの仕様はドキュメント化されてない
* 作ってみたくなったら、BitmapViewのプラグインのソースコードを見ると良い。

# Vim pluginとの連携
* vinariseはVim pluginと連携できる
* vimfilerで、Bを押すとvinariseで開く
* 他にもやってみたいとは思っているのでアイデア募集中

# バイナリファイル自動認識
* .vimrc内でlet g:vinarise_enable_auto_detect = 1とする
* 「:edit バイナリファイル」を実行すると、開いたファイルがバイナリファイル
っぽかったら自動で認識してvinariseで開く。
* ELFっぽかったら、objdumpで開く
* デモ

# vinariseの制限
* 1.6GB以上のファイルは開けない(仮想メモリの制限)
* バイトの挿入・削除はできない
* バイト列を型変換して表示することはできない
* ファイルの保存は遅い
* アンドゥできない

# 今後のvinariseについて
* 2GB以上のファイルへの対応
* ファイルの保存を高速にする
* バイトの挿入・削除への対応
* ISO-2022-JP文字コードへの対応
* バイト列の型表示はプラグインでやる予定
* アンドゥを実装する
* バイナリの構造を表示(バイナリファイルのアウトライン表示)

# 終わりに
* 今日覚えて欲しいこと「Vimは優秀なバイナリエディタ」である
* 「hexl-mode, xxd? なにそれおいしいの」
* vinariseを使うと、Vimをバイナリエディタにすることができます
* みなさんも使ってみた感想があれば、@ShougoMatsuまで
* ただし、あまりに無茶な要求はしないようにしましょう
* Vim + Python縛りはつらいのです
* 業務で使用できるような高機能なバイナリエディタ(解析ツール)というのは金が取れるレベルです
* これを機会に、みなさんもHappy vinarise!

------------------------------------------------------------------------------------------

第二部:Vimネタスライド

何も言わず、リンク先のスライドを見てほしい……。
http://www.slideshare.net/Shougo/vim-13092304
どう思う? すごく、Vimです……。
うん、またなんだ。すまない。もはや謝って許してほしいとも思っていない。
しかし、vinariseのおかげでVimに興味を持った人ならきっと楽しんで貰えると思ってこ
のスライドを用意したんだ。

------------------------------------------------------------------------------------------

ネタスライド補足

私としてはみなさんに楽しんでもらえるよう、万全を期して用意をしたはずなのですが
、Twitterの感想を見ていると一部の人が私の発表に不満を覚えているようです(特に第
二部について)。

このまま誤解されているのも、何だか悲しいので私の発表の真の意図をここで説明した
いと思います。ちなみにネタばれ全開なので、私の発表をまだ見ていない人はすぐに回
れ右をするんだ!



















* 私の発表内容は私の個人的見解であり、私の発表にいかなる不満を持ったとしても
Vimや他のVimmerに対して悪い印象を持たれないでください。私はただの一人のVimmer
にすぎません。
* 少なくとも前半はバイナリエディタ(とVim)の話をしました。この内容自体は問題ない
はずです。
* 第二部はほぼVimオンリーの話になっていますが、それはオマケスライドだからです。
自分の発表でVimに興味を持った人がいるかもしれないので用意しました。事前に聞いて
みたところ、Vimを日常的に使用している人も多くいました。
* 最初から内容を公開してしまう手もありましたが、ネタばれすることでつまらなくな
ると思い、それは避けました。最後に発表を持ってきたり、発表時間が他の方よりも長
いのは、ある意味の予告だと思ってください。※1ただ、当日にアナウンスくらいはしても
よかったかもしれないです。
* このスライドは一ヶ月以上前から作成していて、練習もきちんとしていました。決し
て半端な気持ちで作っていたわけでありません。というより、半端な気分ならあの場で
発表できないでしょう。※2
* x86勉強会でVimの話をしたのは、普段バイナリを扱っている方々にもVimのことを知っ
てもらいたかったからです。Vim勉強会でVimのことを話すよりも良いアピールになると
思いました。私はバイナリ技術も好きなので、バイナリとVimの橋渡しをしたかったので
す。

※1:私の後での発表は誰もやりたくないと思います。
※2:ちなみに、私はKaoriya-Vimを配布しているKoRoNさんから「鋼の心臓を持っている
」認定を受けました。

以上になります。真意を汲み取っていただければ幸いです。
ちなみに、懇親会で私の発表の感想を聞いてみると、好意的に受け取ってくれる人が
多かったようでした。それを聞いて、やって良かったと思いました。
------------------------------------------------------------------------------------------