2013年8月24日土曜日

実践 Vim レビュー

お久しぶりです。残念ながらこの本の翻訳にはほとんど関われていないのですが、とあるルートより見本誌を頂いてしまったため、今後の Vim 界の発展のためにもレビューをしたいと思います。

この本の原著は「Practical Vim」と言います。Vim 界の一部で有名で、貴重な Vim の書籍であるため、原著を私は入手しています。

この本のコンセプトは、「Vimの基本機能を丁寧に解説する」ことにあります。Vim の書籍はこれまでにもいろいろ出ていますが、「ViIMproved‐Vim完全バイブル」は記述が古すぎますし、「入門 vi/Vim」は vi の部分の解説が多すぎます。「Vimテクニックバイブル」はプラグインの解説に特化している……と Vim の基本をマスターしたい人にはなかなか良い選択肢がありませんでした。
しかし、「実践 Vim」はそのような本を求めていた人に是非お勧めしたいです。

「Vimの基本機能を解説する」といっても、舐めてはいけません。
Vimの基本機能というのはとても膨大です。「俺は Vim の :help をマスターしている」「俺は Vim である」「Vim は家族である」「マイフェイバリット言語はVim scriptだ」という一部の変態 Vimmer を除き、大抵のVimmer には新たな発見があることでしょう。

Vim の本なので、例えばこういった解説があります。

  • バッファリスト
  • ウインドウリスト
  •  タブページ
  •  引数リスト(:args)
  •  唐突に現れる Vim Ninja(P.170)。ちなみに原著にも登場。
  •  テキストオブジェクト
  •  ジャンプリスト/変更リスト
  •  レジスタ
  •  マクロ。なぜか一章 25P がまるまるマクロなので、某マクロ漁船な人も安心。
  •  quickfix
吹いたのは、「ダイヤル Xを回せ! 自動補完だ」という某章のタイトルです。ちょっと何を言っているのか 分かりませんでした。自動補完といいつつ、自動補完のプラグインの解説ではなく、Vim組み込みの手動 補完の解説なので注意。紛らわしいですが、原著の記述がそうなっているのでしょう。インサートモードの補完について、一通りの解説がされているので、補完フリークは必見です。

全体的に解説が丁寧なので、:help の無味乾燥な解説で挫折した人も Vim に再挑戦することができるでしょう。レビューするために一通り読んでみましたが、日本人の Vimmerがきちんとレビューしているので、記述がおかしい部分もありません。よくできた本です。

他に注目すべきポイントとしては、この本の著者が kana 氏のプラグインに感銘を受けていることでしょうか。kana 氏のプラグインは日本では有名ですが、外国ではマイナーなので、これは驚くべきことです。

この本を読んで、この本はほとんどプラグインについて触れていないので、物足りないと感じる人がいるかもしれません。大丈夫、そういう人のために「Vimテクニックバイブル」があるのです(宣伝)。しかし、「Vimテクニックバイブル」も Vim script に関してはほとんど解説できていないという欠点があります。皆さんが Vim の本や Vim 特集(エディタ特集)の雑誌を購入してくれれば、きっと出版社も「Vim script本はマニアックだけど需要があるからいける」という感触を持ってくれるはずです。ぜひ Vim 本(エディタ本)を応援してあげてください。