2013年5月19日日曜日

編集王(エディットキング) バトルエディターズ 第2話:彼の名は暗黒美夢王(後編)

注意:この物語はフィクションです。実在する人物・団体・ソフトウェア・テキストエ
ディタとは一切の関係がありません。宗教論争をする意図もありません。

注意:この物語を読んだところで、テキストエディタの知識が付くわけがありません。
物語中に存在するテキストエディタのネタはオマージュ程度であり、知っている人がほ
くそ笑む程度のものです。期待しないようにしましょう。

注意:この物語は皆の反応を見るためのテスト版であり未完成です。話の内容は予告な
く変更される可能性があります。

「ルールを守って楽しくエディット!」

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Scene 1
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「私はこれでターンを終了します」

来夢:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text2
美夢王:EP 2000 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

特殊コマンド「モード変更」の機能が無効となったことにより、Sublime Text2の戦闘力
は元に戻る。今が反撃のチャンスのはずだ。

Sublime Text2 戦闘力 3500 → 1500

信じるしかない。自分のエディタを。我はディスクから渾身のロードを行った。
「我のターン! ロード!」

来夢:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text2
美夢王:EP 2000 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「こ、このコマンドは!」

「お前、『Vimの後継者』という妄言を撤回する準備はできているか?」

「私は無傷、あなたのEPは2000。この状況で負け惜しみですか。みっともないです」

「ならば我は特殊コマンド『デグレード』の機能を適用する! このコマンドは相手の
プラグインの機能を『インストールしたエディタの戦闘力を400P下げる』に変更する。
プラグインのデグレードの恐しさ、味わうがいい」

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|デグレード:特殊コマンド・永続(デーモン)
|相手のメモリ上のプラグインのもともとの機能を無効にし、次の機能に変更する。
|「このプラグインをインストールしたエディタは戦闘力が 400 P 下がる。選択したプ
|ラグインがメモリ上に存在しなくなった場合、このコマンドをトラッシュに送る。
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Sublime Text2 戦闘力 1500 → 1100

「わ、私のVimが……」

「『Vimtage mode』は封じた。これでお前のエディタは名実共にSublime Textとなった
な。VimでSublimeText に対し、バトル!」

「くっ……」

来夢:EP 3600 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text2
美夢王:EP 2000 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「これで我はターンエンド」

とりあえず、このターンで相手のプラグインを封じこめることができた。EP も減らせて
上々といったところか。

- TURN 3 -

「よくも私の Vim を……。もう許しません。私のターン、ロード!」

まぁ、最初からSublime Text2はVimではないと思うが。

来夢:EP 3600 メモリ 5/8 メインエディタ Sublime Text2
美夢王:EP 2000 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

彼女から感じる、これまでとは明らかに異なる強い気迫。

「これは……。ついに来ました。『Vimtage Mode』がなくても、勝負(エディット)に勝
てばよいのです。勝てば」

もはや彼女にとって、「Vim の後継者」というのはどうでもよくなったようだ。

「Sublime Textの真の恐しさ、あなたに見せてあげます」

どうやら、相手は切り札となるコマンドをメモリからロードすることに成功したらし
い。来るぞ!

「私は特殊コマンド『アップグレード』をSublime Text2に適用します! アップグレー
ドコストとして、EP 1000を支払い、Sublime Text2をアップグレード。エクストラディ
スクより、Sublime Text3 を特殊実行!」

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|アップグレード:特殊コマンド
|アップグレードコスト 1000 を支払うことで、メモリ上の選択したエディタをバージョ
|ンアップしたエディタをエクストラディスクより特殊実行する。プラグインを引き継げ
|るどうかはアップグレードしたエディタの機能に依存する。
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Sublime Text3 戦闘力 1500

「これが……Sublime Text3」

「Sublime Text3はSublime Text2のプラグインを引き継げません。しかし、新しくプラ
グインをインストールすればよいこと。私はSublime Text3に『Package Control』をイ
ンストール! Sublime Text3 にプラグインがインストールされたことにより、Sublime
Text3の戦闘力は 500Pアップ!」

来夢:EP 2600 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 2000 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

プラグインの互換性がないことにより、Sublime Text2 がインストールしていたプラグ
インがトラッシュに置かれたため、『デグレード』もトラッシュに送られた。

Sublime Text3 戦闘力 1500 → 2000

「Sublime Text3でVimに対しバトル!」

「『モード変更』の機能でこのターンはアタックできないはずでは?」

「確かにその通り。しかし、『モード変更』を使用したのは Sublime Text2です。別
のエディタであるSublime Text3には適用されません」

「そこまで考えてのアップグレードだったか。やるな」

「ふん。あなたに褒められても嬉しくありませんわ」

デグレードを回避したというだけでなく、別のエディタである Sublime Text3を実行す
ることで、モード変更のコストをも回避したというわけか。ああ見 えて、戦略を考えて
いると見える。こちらも全力で相手しないと。我は不思議と高揚していた。これだか
らテキストエディタというのはやめられない。

「全く、テキストエディタは最高だぜ!」

「い、いきなり何を言っているの。私のエディタを見てニヤつくだなんて。この、変態」

「それは聞きずてならないな。変態(へんたい)、じゃなく編集(へんしゅう)と読んでく
れ。その方が落ち着くんだ」

「やはり、テキストエディタの使いすぎで頭がおかしくなったみたいですね。私があな
たの頭をデバッグしてあげます。Sublime Text3でVimにバトル!」

「く……」

来夢:EP 2600 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1500 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

「これで私はターン終了です」

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Scene 2
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「我のターン、ロード!」

来夢:EP 2600 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text2
美夢王:EP 1500 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「我はプラグイン『neo-snippet』を Vim にインストール! さらにneo-snippetの機能
を適用。EP を 500 支払うことで、メモリ上に neo-snippet トークンをプラグイン扱い
でエディタにインストールする。『ネオ・スニペット・エキスパンション!』」

Vim 戦闘力 1500 → 2000 → 2500

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|neo-snippet:プラグイン・Vim
|このプラグインはVimにのみインストールすることができる。
|機能『ネオ・スニペット・エキスパンション』 EP を 500 支払うことで、メモリ上に
|neo-snippet トークン(機能なし)をプラグイン扱いでエディタにインストールする。
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「VimでSublimeText 3にバトル!」

「ふん、かすり傷です」

来夢:EP 2100 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 8/8 メインエディタ Vim

「我はこれでターンエンド」

- TURN 4 -

「私のターン。私は『Package Control』の機能で、ロードフェイズをスキップし、
Sublime Text3にプラグインをインストール!  『パッケージ・インストレーショ
ン!』」

Sublime Text3 戦闘力 2000 → 2500

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|Package Control:プラグイン・Sublime Text
|このプラグインはSublime Textにのみインストールすることができる。
|機能『パッケージ・インストレーション』 この機能はロードフェイズにのみ適用できる。
|ロードフェイズをスキップし、エディタにプラグインを1つランダムでインストールする。
|このプラグインがメモリ上に存在しない場合、この機能でインストールされたプラグイ
|ンをトラッシュへと送る。
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「さらにここで、特殊コマンド『インスタント・プラグイン』の機能を適用! さきほ
どインストールしたプラグインの機能を無効にすることで、プラグイントークンをエ
ディタにインストールします」

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|インスタント・プラグイン:特殊コマンド
|機能『インスタント・インストレーション』 自分のメモリ上のプラグインを一つ選択
|する。このプラグインの機能を無効にすることで、プラグイントークン(機能なし)をエ
|ディタにインストールする。
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Sublime Text3 戦闘力 2500 → 3000

「まだ終わりではないわ。Sublime Text3の機能、適用! このコマンドにプラグインが
3 つ以上インストールされている場合、EP を プラグインの数x100支払うことで、この
コマンドは 2 回の攻撃が可能になる。『サブライム・マルチスレッド!』」

来夢:EP 1800 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 8/8 メインエディタ Vim

そうか、彼女は戦闘力を単に上げるだけでなく、二回攻撃を狙っていたのか。二回の攻
撃は、生半可なコマンドでは対処 が難しい……。

「戦闘力 3000……しかも二回アタックなんて、もう美夢王も終わりだな」
「あーあ、結構盛り上がったのになー」
「残念」

諦めに満ちた声が聞こえてくる。しかし、我はここで終わるわけにはいかない。

「我は特殊コマンド『conceal』を Vim に適用! このターン、Vimはバトルとコマンド
の機能の対象から外れる」

Sublime Text2 戦闘力 3000
Vim 戦闘力 ?

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|conceal:特殊コマンド・速攻(クイック)
|このコマンドの機能はvi/Vimにのみ適用することができる。
|機能『コンシール・スキップ』 自分のメモリ上のVimエディタはこのターンのエンド
|までバトルとコマンドの機能の対象とならない。ただし、このターンのVimはバトルと
|機能の適用を行えず、インストールしているプラグインも無効化される。このコマンド
|の機能は相手のターンでも適用できる。
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「くっ、命拾いしたわね。これで私はターンを終了します」

来夢:EP 1800 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

とっさにコマンドを使わないと危なかった……。

「たとえこのターン、ギリギリで凌いだとしても、戦闘力の差は明白。次の私のター
ン、あなたは終わりです」

「確かに、そうかもしれない。だが、編集(エディット)は最後の最後まで分からないも
のだ。これが、我のラスト・ロード!」

来夢:EP 1800 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 8/8 メインエディタ Vim

我は、ロードしたコマンド名を見て、確信した。

「クックック、完成したぞ。勝利のアルゴリズムが」

「我はVimにインストールした『neo-shell』の機能を適用! メモリ上のコマンドをト
ラッシュに送ることでこのターンの戦闘力をそのコマンドの戦闘力と同じだけアップさ
せる。『ネオ・シェル・エクステンション!』」

「我がトラッシュに送ったのは、戦闘力 400 のコマンド。よって、戦闘力 400 アッ
プ!」

Vim 戦闘力 2500 → 2900

来夢:EP 1800 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

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|neo-shell:プラグイン・Vim
|機能『ネオ・シェル・エクステンション』 メモリ上のコマンドを一つトラッシュに送
|る。このターン終了まで、このプラグインをインストールしたテキストエディタの戦闘
|力は1.5倍となる。この機能は1 ターンに一度のみ適用可能である。
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Vim 戦闘力 2500 → 2900

「さらに、我はロードしたプラグイン『neo-complete』をVimにインストール!」

 Vim 戦闘力 2900 → 3400
 Sublime Text 3 戦闘力 3000

「そして我は『neo-complete』の機能を適用する! メモリ上のコマンドを一つトラッ
シュに送ることで、Vim の戦闘力を 1.5 倍にする。『ネオ・コンプリート・フラッ
シュ!』」

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|neo-complete:プラグイン・Vim
|機能『ネオ・コンプリート・フラッシュ』 メモリ上のコマンドを一つトラッシュに送
|る。このターン終了まで、このプラグインをインストールしたテキストエディタの戦闘
|力は1.5倍となる。この機能は1 ターンに一度のみ適用可能である。
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来夢:EP 1800 メモリ 4/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

 Vim 戦闘力 3400 → 5100
 Sublime Text 3 戦闘力 3000

「戦闘力 5100 ……ですって?」

「VimでSublimeText 3にバトル!」

「きゃああああ!」

来夢:EP 0 メモリ 5/8 メインエディタ Sublime Text3
美夢王:EP 1000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim

「さ、Sublime Textに勝った!」
「ス、スゲェエエエエエエ」
「暗黒美夢王!」「暗黒美夢王!」「暗黒美夢王!」
「Vim!」「Vim!」「Vim!」

皆の歓声が心地良い。今も昔も、勝利の味は格別ということか。

「思ったよりやるではないか。楽しい編集(エディット)だったぞ」

我は床にへたりこんでしまった彼女に手を差しのべようとした。
だが、彼女はそれを払いのけると、

「ふん。次回は負けません」

と精一杯の強がりを見せるのだった。

「そうか。じゃあまた今度、な」

久しぶりの編集(エディット)だったが、こういうのも悪くな……うっ。

「くっ……体(エディタ)が不安定になって……力を使いすぎたのか……。我の脳がク
ラッ……シュ」
「ちょっと、どうしたのあなた。しっかりしなさい!」
我の意識があったのはそこまでだった。

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Scene 3
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気付くと、そこは学校の保健室だった。横にいるのは、誰だろう。どこかで見たことあ
るような。

「あれ、来夢ちゃんだったっけ。ずっと僕のことを看てくれたの。どうもありがとう」
「ふ、ふん。優しい言葉を掛けたところで、私には効きません。あのまま勝ち逃げされ
るわけにはいきませんでしたから。それだけです」

そう言うと、彼女はつーんとそっぽを向いてしまった。

『Vim の後継者』なんて言ってたからお近付きにはなりたくなかったのだけど、僕のこ
とを助けてくれたようだし案外悪い人じゃないのかな。

「ずっと気になっていたんだけど、あなたはもしかしてわざと……」
「ん? 何のこと」
「考えすぎよね」




暗黒美夢王の勝利の完成に湧く教室にて、ある男が暗黒美夢王のエディットの様子を眺
めていた。

「そうか、遂にVimを継ぐ者が現れたか。待ちわびたぞ」
「俺のEmacsで完膚なきまでに叩きのめしてくれる。歴史上幾度ともなく繰り返されてき
た因縁。今こそVimとの決着を付けるのだ……。ククク、ははははは!」

(「第3話:宿命の対決」に続く……)

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