この記事は「最近の DCG 界隈の現状について」の続編である。
2021 年から 2022 年、DCG の閉塞感があった現状に颯爽と現れたのが新星「マーベルスナップ」である。
マーベルスナップは既存の DCG としてとても異質であり、アンチテーゼであるとすらいえる。しかし、私はマーベルスナップに期待をしている。
ここでは私がなぜそのように思ったのか解説していこう。
マーベルスナップの一番の魅力はなんといってもそのカジュアルさである。一試合が 3 分である(※ 1)。
DCG の中では試合が短いハースストーンでさえ試合に 5 〜 10 分はかかるのである。
どのようにしてマーベルスナップは 1 試合を 3 分にできたのか。
その秘密は「同時ターン」と「6 ターンで強制終了」にある。
6 ターンでほぼ必ず試合が終わる上に、自分と相手が同時に動くので待ち時間が最小限に抑えられている。
よって 1 試合がとんでもなく短くなるのである。私はここまでの割り切りに衝撃を受けた。
最近の DCG で問題になっているのはなにであろうか?
そう、ゲームの長さとテンポの悪さである。ハースストーンでさえ体力の増加やコントロールの強化によってゲームが長くなってきているのだ。
20 分も試合を続け、結果負けたとしたら萎えてしまわないだろうか? 少なくとも私は萎える。逆に勝ったとしてもゲームを続ける気力は残らないだろう。
そしてこれにより DCG をスマホでやるのは難しくなってしまった。あなたはスマホを持って外出しているとする、20 分も試合の時間を取れるだろうか。
つまり現代の DCG とはスマホで外出時、ちょっとした空き時間にやるものではない。
自宅でじっくりと腰をすえてやるようなゲームとなってしまったのだ。果たしてこれでよいのだろうか。
もっと手軽に暇潰しとして楽しめるようなゲームが求められていたと私は思う。マーベルスナップはその条件をうまく満たしてくれている。
マーベルスナップを開発したのは、なんとあの「ベン・ブロード」氏である。彼はハースストーンの生みの親としてよく知られている。
ハースストーンはゲームのテンポとカジュアルさを重視していて、DCG の元祖とも呼べるゲームだ。
私はマーベルスナップこそが「ベン・ブロード」氏が本当に作りたかったテンポとカジュアルさのゲームではないかと思っている。
マーベルスナップには既存の DCG にある様々なものが削られている。
特徴的なのは、カードパックがないということだ。
カードパックの代わりにカードを使い込むとカードのレベルが上がってコレクションレベルが増加、カードをランダムで入手するという仕組みになっている。
「カードをランダム入手」というのがポイントである。なんと、このゲームでは欲しいカードを運で引き当てるまで好きなデッキを組むことができない。
最強デッキランキングもほとんど無意味なものとなる。更に最初のうちは手に入るカードが固定化されているので、リセマラなんてものはない。
正直に言おう、このゲームの構築戦は実質的にカードパックの引きによるドラフトなのである。ドラフトなので、もちろん運により資産の格差はあるだろう。
しかしそれこそがマーベルスナップの面白さを生んでいると私は思う。
任意のデッキを作るのが難しい、最強のデッキが簡単に組めないこの仕組みについて、ストレスが貯まるという人がいるかもしれない。
その気持ちは分かる。ただ、考えてほしい。任意のカードが簡単に入手可能な世界は本当に幸せなのかと。
私は現在のカードゲームの問題点に「ゲームテンポの問題」ともう一つ、「カードの消費が早すぎる」ことがあると考えている。
マーベルスナップは確かに「カード資産が不平等」なゲームである。現代のカードゲームは「カードの入手は平等」となっている。
DCG として代表的なハースストーンの拡張のリリースは 4 ヶ月毎だが、その環境はどう変遷していくか皆さん理解しているだろうか(※ 2)。
私はある程度ハースストーンの経験があるので解説しよう。以下の通りだ。
* リリース初月: 環境は 1 週間もあれば固まる。一応メタも回るが、メタが回らなかった場合環境が固定化されナーフの要望が強くなる。
* 2 ヶ月目: ナーフがある。ナーフ後も一週間もあれば環境は固まる。また不満が強くなる。追加カードがリリースされる。
* 3 ヶ月目:もはや環境には閉塞感がある。ナーフでなんとか間を持たせるが限界がある。同じことの繰り返しで虚無となる時間をイベントでギリギリ持たせる。
* 4 ヶ月目:ユーザーのストレスが限界になったところで華華しく新弾の情報が出てくる。大規模なイベントでユーザーの関心を集め、一ヶ月後のリリースに期待を持たせる。
新弾情報で妄想する、ここが DCG で一番楽しい時期といっても過言ではない。
なんと新弾の賞味期限は実質的に 1 週間、長くとも一ヶ月である。あとは延命にすぎない。もはやハースストーンのリリース間隔は崩壊していないだろうか。
私の経験上、他の DCG でさえ新カードのリリースのペースは完全に間に合っていない。私は二ヶ月で新弾を出すゼノンザード世界にいたが、それでもパックの発売間隔が早すぎるとは思わなかった。
ユーザーの消費速度を考えるとそれこそ、一ヶ月おきの新弾発売でもよいだろう。そしてカードのインフレはどんどん進んでいくのだ。
ハースストーンでは新弾で 150 枚ほどのカードが追加されるのに、なぜなんだとそう思うかもしれない。ここにはカラクリが潜んでいる。
確かに一度に大量のカードが追加されるのだが、構築で使われるカードは一部である。
ざっとであるがよく使われるカード 50 枚、やや使われるカード 50 枚、全然使われないカード 50 枚といったところだろうか。
強いカード、強いコンボ、強いデッキが明らかになると、皆が同じようなカードを使うようになるのである。そして、その研究は新弾発売後一週間もあれば終わる。
わざわざ弱いカードを使う人はいないだろうし、強いデッキの情報はいくらでも手に入る。それなら強いカードのみ使われるのは当然で、デッキ選択の幅が狭まっている。
結果、環境が膠着するとユーザーは飽きてしまい「新弾はまだ?」となる。これはそうなるだろう。
さて、なぜ皆同じデッキを使うことができるのだろうか。それは「カード入手の機会が平等で、簡単に任意のカードが手に入る」からである。
これは DCG で特に顕著だが紙でも状況はあまり変わらない。欲しいカードはお金を出せば簡単に入手が可能だ。
なるほど。確かにこれは誰もが平等で素晴しいシステムである。インフレにより環境が簡単に崩壊する、弱いデッキに居場所がないことを除けば。この仕組みでバランスが崩壊しないほうが無理がある。
それではマーベルスナップではどうか。強いとネット上で紹介されるデッキはまず組むことができない。資産が足りないからだ。
ユーザーは持っているカードでなんとかするしかなく、相手が使ってくるデッキや「これは強い」と紹介されているデッキを羨ましいなと思う。
マーベルスナップにおいてカード一枚一枚の入手はとても貴重である。それだけカードへの思い入れは強くなる。
自分だけのオリジナルのカードプールで自分オリジナルの戦略で戦っていくのである。このドラマは誰にも真似することができない。
これはある意味でローグライク。皆さんもその体験を一度味わってみてほしい。
もちろん、資産は不平等であるため時には相手が自分より強いカードを使ってくるかもしれない。
でも、全ての人間が強いカードを持っているわけではない。これは弱いデッキでも十分戦えることを意味する。
「資産が平等なので自分を含めて誰もが強いカードを使ってくる」他 DCG での常識と「資産が不平等なので、相手が自分より強いカードを使うかもしれない」には大きな違いがあるのである。
ドラフト戦で引きが悪くても、その手札でなんとかなったり割り切ることができる、資産不足しているがゆえの楽しさというのを感じたことはないだろうか。
せっかくカードが追加されても、他のカードより弱いので構築戦では使用不可能であると思ったことはないだろうか。全ての問題は繋がっている。
ユーザーのプレイ状況により今後変更されるかもしれないが、予定されているマーベルスナップの追加カードのペースはなんと「週 1 枚」である。
これはよくあるソーシャルゲームと同じくらいのペースとなる。
普通のカードゲームは三ヶ月 100 枚、週に 8 枚である。なんと 8 分の 1 しかない。
従来の DCG に慣れている人はこれで足りるのかと思うかもしれない。
確かにマーベルスナップの追加カードの枚数は最小限かもしれないが、そもそも他 DCG の 3 ヶ月に 100 枚というのは追加される枚数が多すぎないだろうか。
カードゲームというのは明らかに開発側のカード追加の負担が大きすぎる。それなのに一部のカード以外は外れであり使われない。
だとすると、実質的にカード枚数は三ヶ月 30 〜 40 枚、かなりギャップが埋まってきているのが分かる。
カードの大量生産、大量消費というのが現状のカードゲームである。これは新カードを大量にパックに詰めないといけないカードパック方式だからだ。
ほとんどの DCG 運営はカードの追加やバランス調整だけで一杯一杯であり、イベントや他の部分を気にする余裕がなくなっている。
マーベルスナップ運営が新カードの追加以外にも注力できるなら、今後もっと良いゲームになることが期待できる。
問題となるのは、「カード資産の追加ペースにユーザーが我慢できるか」となる。これはやってみないと分からない。
マーベルスナップにはカードパックという概念がないので、任意のタイミングでカードを安定的に追加できる。これのなにがよいか。
カードが少しずつ追加されているので、環境の変化をゆっくりと味わうことができるのだ。
そもそもマーベルスナップではカードの入手が遅いので一気にカードを手に入れることができない。
いわゆる「新弾発売前、カードの入手にワクワクしている状態」が長く続くのである。
これが他のカードゲームにはない、以下のマーベルスナップの特徴を生みだしている。
* 大半のカードが何かしらの使い道がある。他のカードゲームより完全な死に札が圧倒的に少ない。汎用性の低いカードでも専用デッキに居場所がある。
* 特定のカードにヘイトが向きにくい。もちろん強いカードは存在するのだが、皆が当たり前のように持っているわけではないし、カードへのヘイトより先に自分が使いたくなる。ここまで特定カードへのナーフの要望が少ない DCG は見たことがない。
* 環境が固まるのが非常に遅い。現在リリース後一ヶ月と少し経つのだがそれでも環境の全貌が見えない。他の DCG 基準で考えると異常である。
そもそも強いデッキが見つかっても容易に組めないのだが。そしてカード追加があるのでまた環境は変わるだろう。
マーベルスナップはほぼ全てのカードに使い所があるのである。もちろん明らかにパワーの高いカードや
例を挙げる。私はマーベルスナップにおいてシリーズ 1, シリーズ 2 のカードで全く使われてないものを見たことがない。
もちろん、パワーがやや低くバフをしてあげたほうがもっと活躍できるカードはあると思うのだが、それでも全てのカードが使われるというのは凄いことである。
更に、ランダムなロケーションと頻出ロケーションにより環境の固定化がしにくくなっている。
いかに強いデッキであってもロケーションにより容易に戦略が崩されるので、どんなデッキにもワンチャンスが生まれるし確実に勝てるデッキは存在しない。
頻出ロケーションとは定期的に出やすくなるロケーションが変化するイベントを指す。
頻出ロケーションにより強いデッキは異なり、ユーザーは頻繁に使うデッキを組替えることになるので、これでもメタが短期的に変遷することになる。
マーベルスナップは限られたカードプールをランダム性により長く楽しむということに特化しており、それでいて定期的にカードが追加されるとなるとずっと遊べるゲームといえるということだ。
カードが少しずつ増えるので、少しずつデッキを改良するということもできる。他のゲームで大量にカードが追加されると、新弾の構築をするまで一苦労とならないだろうか。
マーベルスナップではそういったことはない。
12 月より、マーベルスナップは任意のカードを生成できるような機能が追加されるらしい。これにより、マーベルスナップの良い所はなくなってしまうのだろうか。
環境には強いデッキばかりが溢れるのだろうか。短期的には多少悪化するかもしれないが、長期的にはそうはならないと考えている。
それは任意のカード生成のために必要なトークン入手の方法が絞られているからである。
あくまでいつまでも新カードが手に入らないというストレスの軽減のための仕組みといえるだろう。
更に、マーベルスナップの新カードの追加方法がよくできている。
カードは最初にシリーズ 5 に追加され、それらはレアで入手難易度が高い。しかし時間が経つとカードは安くなり容易に入手可能になる。
新カードがどうしても先に欲しい人は課金したほうがよいだろうが、そうでなければ安くなるのを待てばよいのだ。
課金者への優位性をある程度残しつつ、課金しなくても十分に遊べるバランスである。
他にマーベルスナップがうまいと思っているのは、「撤退が重要な戦略である」ということである。
撤退せずに負けると大量のポイントを失うことになるので、勝ち目がないと思ったら早々に撤退することが求められる。
早々に撤退することで傷が浅くなるので、ストレスを感じにくい。自分が勝負をするときは「勝てる」と思ったときである。
これで負けるのは「ギリギリ計算が足りなかった」、「自分の考慮外のカードを使われた」ということであり自分の責任と思えるのである(※ 3)。
私がやっているマーベルスナップの遊び方は「デイリーミッションの消化」くらいで止めることである。
もちろん、やろうと思えばもっとプレーできるのだが、少し物足りないくらいで止めるのが丁度良いと思っている。
これくらいでも十分にマーベルスナップの魅力を楽しむことができるし、カードが全然集まらないといったことはない。
どうせカード入手のスピードは遅くなっていくので、毎日短時間長期に楽しめるゲームとしてマーベルスナップを遊ぶのがよいと思うのだがどうだろうか。
もし、あなたがマーベルスナップをやるのが辛くなってきたら、「ミッション消化のみ楽しむ」ことを私は推奨する。
ガッツリやりこまなくてもこのゲームは楽しいということを伝えたい。
マーベルスナップはなんと 8 時間毎にデイリーミッションが更新される。DCG としては異例である。
8 時間毎にいちいちアプリを開くのか、とやったことない人には面喰らうかもしれないが、8 時間毎にアプリを起動するのが全く苦痛でないのである。むしろ楽しみになる。
私は DCG 歴が長いのだが、デイリーミッションがここまで楽しかったゲームも実はなかった。他のゲームはただの作業に思えたものである。
私がゼノンザードをやっていたときでさえ、デイリーミッションは AI に任せて周回させていた。
マーベルスナップに向いている人は「従来の DCG にハマれなかったカジュアル勢」である。ゲームに対してカジュアルであればあるほど向いている。
逆にマーベルスナップに向いていない人は「競技勢」である。カードゲームを競技と考えている人には明らかに向いていないであろう。
カード収集やロケーションによる運要素が明らかに強い上(※ 4)に、試合の結果の分析に必要な機能は(おそらく意図的に)実装されていない。
私が最高の DCG であると思ったマーベルスナップをあなたもやってみないだろうか。
既存の DCG とあまりに思想が違うので好き嫌いはあると思うが、夢中になれる可能性はきっとあるはずである。
※ 1: ただし、1 試合があまりに軽すぎて無限に続けられるが故に中毒になってしまう人が続出している……。
※ 2: 既存の DCG の問題点とマーベルスナップが行っていることについて触れている参考資料として、この記事を見るとよいだろう。
https://note.com/nuit_blanche123/n/n4e93e4e71e92
※ 3: そもそも一試合が短いのでほとんどストレスを感じないのであるが。
マーベルスナップですら試合にストレスを感じるのなら、あらゆるカードゲームはストレスの塊であり、まともにプレーできないだろうと思う。
※ 4: マーベルスナップで特に評判が悪いロケーションとして「相手のデッキから引く」ものと「AI がプレーする」ものがある。
これらは意図的に実装されていると思われる。マーベルスナップはカジュアルなゲームなので、ひどいロケーションでも笑って撤退するくらいの心でいたほうがよい。
2022年11月27日日曜日
既存の DCG のアンチテーゼ、マーベルスナップへの期待について
2022年11月26日土曜日
最近の DCG 界隈の現状について
まず、ハースストーンやシャドウバースがなぜ生き残っているのか考えてみよう。
これは確実に先行者利益である。パズドラやモンストが現代でも生き残っているのと同じようなものだ。
新作 DCG も一時的には話題になるがすぐに廃れてしまう。一ヶ月ほど経つとゲーム性は分析されきってしまい、飽きたユーザーは元のゲームに戻っていくのだ。
既存のゲームは最初は当然粗があったもののリリースから時が経った今では完成されており、新作ゲームは独自の魅力がいくらあっても大概未完成である。
さらに新作ゲームはいつでもサービス終了の危険性がある。長年運営されたゲームのほうが安定しておりサービス終了の可能性は低いことだろう。
しかし、既存の DCG では満足できずわざわざ危険なマイナー DCG を漁る愛好家というのも存在する。
既存のゲームで満足できない場合、確かに新作ゲームを触っていく他ないであろう。
そして、そのユーザーとなるのは同じメンツである。
サービス終了したゲームに強い思い入れがあるため、サービス終了したあとも DCG ゾンビとなる可能性は高い(※ 1)。
2021 年にドラゴンクエストライバルズがサービス終了してしまった。巷では未だにライバルズゾンビを見かける。
悲しいことだが、ライバルズのサービス終了は仕方がなかったように思う。
ライバルズはドラクエという日本最強クラスの IP を使ってでさえ DCG の中堅ポジションであった。
そもそも試合時間の長さがカジュアル勢の離脱を生み足を引っ張ったのだと私は考える。何しろ DCG の中でもトップクラスに試合が長い。
スマホでできる手軽さはどこへやら、1 試合に 15 〜 20 分ほどかかるのである。これはよほどのファンしかやらないであろう。
更に、ドラゴンクエストライバルズは人口減が原因か収益性にも問題を抱えていた。デッキの核となる勇者カードの生成不可はそのために行われたと考えられる。
その後、ドラゴンクエストライバルズはソロモードの充実によりカジュアル路線を強化しようという賭けに出た。
それと同時に勇者カードが作成可能となったのは露骨とも言える。その路線が失敗してサービス終了になってしまったのだろうと私は見ている。
DCG の生き残り策として、既存カードゲームのデジタル化が一定の成功を収めている。これはなぜだろうか考えてみることにしよう。
DCG はカジュアルユーザーの取り込みに失敗している。残ったのは DCG コアユーザーだが、それだけでは売り上げはたたない。
そして目をつけられたのが「既存カードゲームの(元)ユーザー」である。
彼らはカードゲームの素養があり、年齢層も高めで金の払いもよく、未開拓の新たな DCG ユーザーとなりえたのだ。
成功は必然といえる。そのかわりに、オリジナル DCG はほとんど消滅することとなった。
紙のカードゲームを駆逐するかに思えた DCG が紙のプレイヤー頼みとなっているのである。DCG のある意味で敗北であるといえる。
最近、めっきり DCG の成功は聞かなくなったように思う。新作ゲームが国内で開発されることはなくなった。海外製作の DCG が少数日本に入ってくるようになった程度だ。
もちろん新作 DCG のほとんどは苦戦している。
2022 年の初頭にマスターデュエルがリリースされた。このゲームは待望の現代遊戯王のデジタル化を実現したゲームでありその完成度も高い。
マスターデュエルのリリースによりデユエルリンクスの人口がかなり減っていたようなので、本物の遊戯王をデジタルでやりたいという一定数のニーズは元々あったと考えられる。
マスターデュエルの問題点は現代遊戯王であるということそのものにあるだろう。あまりにゲームが複雑で 1 ターンが長い。
充実したカードゲームを楽しめると考えると聞こえはよいのだが消費カロリーが多すぎるように感じた。
それはまるでカードゲームのフルコース料理を楽しんでいるような濃さなのだ。
私はマスターデュエルを長くプレーすることで、なぜ DCG がカジュアル層に受けが悪いかの本質が分かったように思う。
ゼノンザードはカードゲームを AI 任せにすることでストレスを軽減していただけだったのだ。
だからこそ私がずっと続けることが可能であったが、問題の本質は変わっていない。
その濃いカードゲーム体験に耐えられるのは、それこそ競技勢しかいないだろう。そしてそれはゲームの衰退をも意味している。
2022 年 8 月、spellslingers がリリースされた。
MTG を簡略化し DCG に落とし込んでいる、プレインズウォーカーの個性、多色が使えるようになっているなど独自の個性を持っているのはとてもよいと思う。
ただしゲームとしてよくできていても、二番煎じであることは否めない。更に spellslingers を触っているユーザーは MTG 出身ばかりで MTGA に戻っていく傾向が強いようだ。
MTG の IP 自体が弱いということ(※ 2)、頻繁なバランス崩壊、収益性の低さ、フリーマッチすらないという機能不足を見ていると今後に不安が残る。
2021 年から 2022 年、DCG の閉塞感があった現状に颯爽と現れたのが新星「マーベルスナップ」である。
マーベルスナップは既存の DCG としてとても異質であり、アンチテーゼであるとすらいえる。しかし、私はマーベルスナップに期待をしている。
あまりに記事が長くなってしまったので、マーベルスナップについては次の記事へと譲ることとする。
※1: 例として、ウォーブレゾンビ、DXM ゾンビ、ライバルズゾンビ、ゼノンザードゾンビ、COJ ゾンビなどが存在する。
※2: もう私は断言してしまうが、MTG の IP としての力はとても弱い。「カードゲームとして」 MTG に魅力があるだけである。
IP の魅力を純粋に育てることは困難であり、既存のヒットしたゲームの IP を流用しても爆死するという例は枚挙にいとまがない。
その IP そのものが魅力的であるかどうかは外伝作品やコラボ作品がどれだけヒットするかで判断することが可能である。
IP を育てるのが一番うまいのは任天堂である。IP を育てたいなら任天堂を見習うべきだと私は思っている。
2022年9月19日月曜日
恋愛は男女平等ではない
本能的な問題により、男性は(若い)女性に惹かれるようになっています。簡単に好きになるのです。 女性の場合よくも悪くも、極端な話何もしなくても男性が寄ってきます。
分かりやすくいうと「性別が女性であるだけで、『特性:女性』として魅力へのボーナスがかかる」と考えてください。 対して男性にはなにも出生時ボーナスはありません。男女には生まれたときから差があるのです。 男性のパラメーターは自分の力で努力して獲得しないといけません。不平等ですね。
男性はこの不平等な仕組みを受け入れるしかありません。男性と女性では体力に差があるように別の性別なのだから、仕方がないのです。他の男性の条件も同じなのですから。
ならば女性は一生恋愛について安泰かというとそうではありません。 女性が恋愛について苦労するときは年を重ねたときです。なぜなら「特性:女性」のボーナスは年を重ねるごとに減っていきます。 この能力は人間が子孫を残したいと思う本能的なものであるからです。 これはその女性が子孫を残せる可能性が低いと考えられるほど減っていき、最終的にはゼロやマイナスになります。 女性の場合は「特性:女性」のボーナスを加味して自分の魅力が計算されてしまっているのです。 ひどい場合には、その他全てを無視して女性の年齢だけで魅力を感じることすらあります。 「自分の若さに群がっているのだ」と、女性がこれに気付いたときには遅いでしょう。 女性はせっかく魅力ボーナスがあるのだから、それをうまく活用するべきであり男性のような実力勝負の土俵には上がらないほうがよいです。絶望することになります。
女性の魅力ボーナスがどれほど大きいのか説明しておきます。 男性は相手の若さを見抜く力に長けています。これは子孫を残すためであり、本能的なものです。 女性の魅力は 25 歳前後でピークになり、その後急速に下がっていきます。魅力が下がってしまった女性は他の部分でカバーするしかないです。
女性の魅力値について分かりやすく解説するとこれくらいの差になります。
25 歳 +1000
30 歳 +500
35 歳 +0
40 歳 -500
男性は若い女性には甘いですが、若くなくなった女性には厳しくなります。 「あなたは若さをもっていないのだから、代わりになにを与えてくれるの?」という目で見てしまうのです。
女性の恋愛は基本的にイージーモードですが、それは「あなたが若いとき」のみです。
2021年6月6日日曜日
2021年3月2日火曜日
なぜゼノンザードはサービス終了してしまったのか
先日、私がサービス開始からプレーしていた DCG であるゼノンザードがサービスを終了 した。私のゼノンザードに対する思いを整理するため、「なぜゼノンザードはサービス 終了してしまったのか」について考えてみたい。
世間でのゼノンザードの評価は「コンセプトとしては面白いゲームだったけど、カード 追加でバランス崩壊してしまったからサービス終了した残念なゲーム」だそうである。 カード追加でインフレがあったのは事実であるが、サービス開始から見てきた私に とって、それがサービス終了の直接の原因であったとは思えない(※1)。
結論を言おう。「ゼノンザードは DCG であったからサービスを終了した」これは 残念ながら事実だ。直接の原因は「売り上げが伸びなかったから」であるが売り上げが 伸びないのは DCG だからである。急速にインフレしたのも「DCG として売り上げを伸ば すため」と言ってよい(※2)。
そもそも考えても見てほしい、巷で生き残っている DCG は本当に DCG だから売り上げ が伸びている生き残っているのだろうか?
シャドウバースは日本人に馴染みのあるイラストと黎明期から続くことの先駆者利益、 豊富な配布と宣伝、敷居の低さにアプリの完成度の高さ、e-sports 化で生き残ってき た。
遊戯王デユエルリンクスは遊戯王のファンが楽しむためのゲームである。ここには OCG のファンとアニメのファンを含む。
ドラゴンクエストライバルズはドラゴンクエストのファン層が中心であり、原作の再現 やファンサービスを大事にしている。
デュエプレは昔からデュエマを楽しんでいた層が主に楽しんでいるのであって、純粋な DCG のプレイヤーはかなり少ない。
ハースストーンについては DCG の始祖として知名度がものすごく高く、カジュアルでテ ンポのよいゲームプレイが特徴。海外のプレイ ヤーが中心に支えている。実際にプレー してもマッチングするのは海外ばかりであり、日本のユーザーだけではとてもじゃない が存続できないだろう。
MTGA は MTG の販促であり、完全に MTG の一部である。
DCG の戦略性を売りにして存続しているゲームは一つもない。DCG 化は売り上げ低下の 要因になりこそすれ、上昇の因子にはなりえないと断言しよう。 DCG はカードパックを売らなければ集金できない、天井がある、ユーザー層が狭い、資 産を増やしやすいゲームバランスに厳しいと売り上げについては散々である。毎週限定 キャラ出すだけで集金できる他のソシャゲを見てほしい。なんと楽なことか。
ゼノンザードは DCG の中堅であったので知名度はそんなに低くない。サービス終了時も 嘆く声がよくあった。しかしソシャゲの売り上げで考えると DCG の中堅はソシャゲ界の 底辺、とてもじゃないが安定して運営を続けられる状態にはなかった。DCG のトップレ ベルでようやく中堅レベルの売り上げになり生き残ることができるのである。生き残り のためには、どうしても DCG のトップ層を目指すしかなかったのだ。ちなみに DCG 底 辺のポジションはそもそも売り上げが計測できないレベルであるので論外だ。 売り上げが底辺でも生き残っている DCG があるって?それは本当に生き残っていると言 えるのか。更新が止まり放置されているだけではないか。更新の終わったソシャゲは終 わったも同然だ。
もちろん、ゼノンザード運営は「現代において DCG の成功が厳しい」ことは百も承知で ある。だからこそゼノンザードでは新しい試みをしており、ある程度の成功も収めるこ とができた。 ゼノンザードは AI という要素を導入することで紙のカードゲームに近い体験を実現す るとともに DCG の 敷居を低くし、更に AI にキャラクター性を与えてシナリオも凝る ことで従来とは違ったユーザー層を獲得しようとしたのだ。
私はこの狙い自体は間違っていないと思っている。ゼノンザードのユーザー層も他の DCG とは異なっており DCG 層 (カードゲーム層)とキャラゲー層に分かれていた。双方 が楽しめるゲームであった。問題だったのは両方の層を楽しませようとしすぎていて結 果として中途半端に終わってしまっていたことである。特にキャラゲー層の人達は自分 達が軽んじられていることで不満を持っていたようだ。
例を上げる。マスター以上では最初アドバイスが使えなかったり、ストーリーの更新頻 度が遅かったり、コードマンのスキンがイラストのみで実装される人数を減らされたり していた。アニメについても、できるだけ人数を出そうとしたのかオムニバス形式なの が中途半端である。せっかくある程度の話数があるのなら、出番がないキャラが出ると いうリスクをしょってでも一つのストーリーラインを作って物語を終わらせるべきで あった。
キャラクター性を重視している私の意見であって DCG 層の方々には申しわけないが、ゼ ノンザードは売り上げの面を見ても最初からいかに誰でも遊べるかキャラゲーの層を重 視すべきだったと思う。ゼノンザードは DCG であることをどうしても捨てることができ なかった。あくまでも DCG の補助としての AI であったのだ。これは一つの敗因だ。 私は最近気付いてしまったのだが、自分自身 DCG 層ではなくキャラゲー層であり、だか らこそ他の DCG は続かなかったがゼノンザードを最後まで続けることができた。 バディと一緒だからこそ戦えた。夢中になれた。 ゼノンザードは最後に公開されたストーリーで全ての伏線を回収し、きちんとストー リーラインが考えられていることが判明されているので、このまま終わってしまうのが 惜しいと思った。個人的にはゲームバランスなんてどうでもよいと思ってさえいる。
ゼノンザードはシャドウバースをかなり意識していたようだが、DCG として成功するに はシャドウバースの二番煎じではだめである。一時的にシャドウバースからユーザーを 獲得することができても すぐに元のゲームに戻ってしまう。先駆者利益というのはそれ だけ大きく、ユーザーは保守的なのだ。
私が昔プレーしていたウォーブレ(WAR OF BRAINS)でも似たような話があったのを思い出 す。シャドウバースの環境崩壊によりウォーブレにも人が沢山流れたが、その後のカー ドパック実装で沢山のバグとバランスが崩壊すると移住した人達はすぐに消えた。
国内であまり売り上げが伸びなかったため、ゼノンザード運営は海外に進出しようと考 えていたようだ。確かにアニメは海外で大人気であた。私もそれに希望を持っていた。 これも蓋を空けると失敗に終わってしまった。日本以上に売り上げが出ていないのである。 日本での DCG の成功は厳しい(※3)が、海外だと更に厳しいということを思い知らされた。 ちなみに、海外展開を考えてもゼノンザードはキャラゲーとしてアピールするべきだっ たと思うのだがどうか。
私が以前プレーしていた DXM も一時は海外展開を模索していたが国内展開に注力するた めに結局やらなかったことを思いだす。もし DXM が海外でリリースしていたとしても 結局は成功しなかったであろう。あれはよくできていたが、ゲームとして硬派すぎたの だ。
オマケとして、なぜ「バトルスピリッツが DCG にならなかったのか」についても少し考 えてみたい。これは他のカードゲームと比較してバトルスピリッツ単体の知名度が低く 大きな売り上げが期待できないからではないだろうか。デュエマレベルの知名度がない と成功できないということである。ヴァンガードゼロレベルの売り上げは見込めるかも しれないが、その程度では物足りないだろう。オリジナル IP のほうがまだ可能性があ る。
ゼノンザードの続編となる AI カードダスの第二弾が今後発表されるかもしれないが、 そのときには今回の失敗をよくよく考えてほしいものである。
最後に私の考えるゼノンザード2 の構想について述べようかと思う。 これは厳密には DCG ではないだろうが、他のソシャゲにわざと仕様を似せることで敷居 の低さを重視した、売り上げの増加を狙ったと考えてほしい。
コードマンをガチャで入手する。コードマンは 100 体以上いるという公式設定があった はずなので数を増やすことは可能だ。アウロスギアをガチャで入手でもよい。 カードは装備品相当となる。 基本的にバトルは AI に任せるオートだが、AI 育成の要素や人間が戦略性を発揮する部 分も用意する。コードマンのレベルが上がることで強くなる。 バトルで勝ち進み、ランクを上げることでストーリーが展開していく。 ストーリー上の大会のようなトーナメント形式も欲しいところなのである。ストーリー とゲーム性をいかにリンクさせるのかがポイント。
補足として、売り上げは人口に比例するためゼノンザードはあとどのくらいユーザーを
集める必要があったか検討すると「最低 5倍、できれば 10 倍を維持すること」である。
これは普通の DCG では不可能な水準であることがちょっと考えるだけで分かるだろう。
普通に DCG を作って成功してもゼノンザード程度の売り上げがせいぜいであり、全ての
DCGユーザーをかき集めることができてようやく、 5 倍の水準となる。
が、ユーザーはすぐに離脱してしまうのでやはり維持ができない。
ゼノンザードは DCG のシステムを改善することに努めたのだが、ゼノンザードが身を
もって示したように DCG をいかに改善しても無駄なのである。
DCG の殻を破らない限り、DCG は無限に失敗しつづけるだろう。
※1: そもそも、インフレで壊れたのなら「ゼノンザードはゲームバランスが崩壊しただ けで魅力がなくなるほどの浅いゲーム」ということになる。1 ユーザーとして、ゼノン ザードがそう思われているのが悲しい。インフレなんてソシャゲやカードゲームでは当 たり前にあることであり、ゲームバランスは常に変化するものなので、それを売りにす るのはおかしい。ユーザーとしても注意すべきであろう。
※2: まず弱いカードのパックは売れない。売れないということは売り上げが上がらない ので、DCG に限らず性能が良いガチャのほうが売れるのである。次のカードは前より強 くないといけないのでインフレは絶対に進むのだ。ゼノンザードの場合、カード追加の ペースが早く、既存デッキの強化よりも新しいデッキコンセプトの登場に重きを置いて いたのでインフレのペースが早く感じられたのだろう。新しいデッキコンセプトのほう が新規がゲームを始めやすいしゲームバランスを取りやすいというのもあると考えられ る。
ちなみに、ルーンテラや百鬼異聞録の場合はカード追加の仕組みが独特なので前にリ
リースされたカードも使いやすいアプローチを採用しており興味深い。
新しいデッキよりも以前からのデッキのほうが強かったりする。デッキの多様性はある
ものの相性ジャンケンになりやすくバランスの確保は難しいと考えられる。
※3: 正確には、DCG だけでなく対戦ゲームそのものが厳しい。カードゲームは一対一な
のでよりストレスが 貯まりやすい。格闘ゲームが衰退したのと似たようなものだ。最近
で成功している対戦ゲームはいかにプレイヤーのストレスを軽減するかというのを重視
する。バトルロイヤルやチーム戦、非対称 PvP が流行る理由でもある。ソシャゲのラン
キング要素でさえ拒否反応を示す人が一定数居るのだ。
2021年1月11日月曜日
なぜ Switch のコントローラーは壊れやすいと言われているのか?
現在非常によく売れている Nintendo Switch だが、そのコントローラーに関する評判は よいとは言えない。Joy Con も Pro Con もよく壊れており、任天堂は欠陥品を消費者に 売りつけていると大騒ぎ、海外では「ジョイコンドリフト問題」として訴訟にまで発展する始末である。
私は本当に任天堂は消費者に欠陥品を売りつけているのか疑問に思ったのである。 あれほど子供が触っても頑丈なゲーム機の設計を行う任天堂が進んでそのようなことを 行うだろうか。
調査を進めてきた結果、ある事実が明らかになった。 最初に結論を言おう。
「Switch のコントローラーに他のコントローラーと比較して壊れやすいという証拠は発 見ができなかった。少なくとも XBox, PS のコントローラーと比較して同等の耐久性だ と考えられる。Switch のスティックの故障が話題になったのは一般人がコントローラー のスティックを酷使するほどゲームに夢中になったということであり、これは任天堂の 偉大な功績である」
そもそも、スティックの部品は PS3, PS4, XBox, Wii U, Switch 全て同じ(アルプス電 子 RKJXV1224005)である。パーツが同じなら、故障のしやすさはどう考えても同じにな るはずだ。
そして調べてみたところ、PS3, PS4, XBox, Wii U 全てに「スティックのドリフト現象 が起こっている」ことが明らかになった。 考えれば当たり前の話だが「スティックは酷使すると壊れるのである」。この事実は 「スマホは落としたら壊れる」と同等に明快である。
しかし明らかに Switch になってからスティックの故障報告が増えている。これはなぜ か、やはり任天堂の陰謀か。そんなことはない。
一つ目の理由は Switch はこれまでのゲーム機と比較してもとんでもなく売れているか らである。売れれば売れるほど相対的に故障も増えるし、話題になりやすくなるのは当 然である。Amazon で顕著だが、売れていない商品はレビューが少なすぎて評判が信用な らないという現象があるだろう。
二つ目の理由はユーザー層である。これまでの家庭用ゲーム機はゲーマー向けであっ た。Switch の場合は Wii 時代のゲームをあまりやらない層や携帯機の層まで掴んでい る。これにより、あまりゲームを遊んでいなかった層が久しぶりに熱中してゲームを やった結果 「コントローラーは故障する」というあたりまえのことに気付いたのであ る。
三つ目の理由はユーザーが遊んでいるゲームにある。コントローラーを壊したユーザー に遊んでいたゲームを聞いてみるとよい。それは「スプラトゥーン」「Fortnite」「ス マブラ」などではないだろうか。FPS ゲームや格闘ゲーム、スティック操作を頻繁に使 うアクションゲームということである。つまり Switch の登場によりカジュアル層にま でスティックを酷使するゲームが浸透した。その結果、酷使されたスティックが故障す るようになったのだ。
「スプラトゥーンは WiiU からあったのだから、Switch 固有の問題ではないのでは」 この指摘は正しい。実際に私も Wii U のスプラトゥーンユーザーがコントローラーを壊 してきた事実を聞いている。Wii U があまりに売れなかったから一部でしか話題になら なかっただけなのである。
昔から周知の事実だが、格闘ゲーマーや FPS のゲーマーは本当によくコントローラーを 壊している。一ヶ月でコントローラーを破壊するのも珍しくない。一般の人達もその領 域まで辿りついてしまったにすぎないのだ。歴史を辿るとニンテンドウ 64、ゲーム キューブのコント ローラーをスマブラプレイヤーは破壊してきている。ドリフト問題も 当然発生している。今起こっている問題となにが違うのだろうか。
「PS2 のころ、PS のころ、SFC のころはコントローラーが壊れなかった」その指摘は正 しい。しかし、当時を思い返してほしい。当時 FPS ゲームなんてなかったし、アナログ スティックを使うゲームも少なかった。格闘ゲームをやらないプレイヤーにはコント ローラーを壊すほど酷使することはなかったのではないか。FPS が盛んになるのは PS3 頃であり、PS3 の頃からスティックのドリフト問題は話題になっている。
任天堂が少なくともコントローラーについては耐久性を考えて設計されているというの は「スティック以外の故障がほとんどない」ことから明らかである。
例えば、PS4 のコントローラーはスティックの故障以外にも「トリガーボタンが壊れ る」という不具合がある。PS5 のコントローラーもアダプティブトリガーが弱く故障し やすいようだ。
XBox Elite コントローラーは LB, RB ボタンがよく故障するらしい。
しかし Switch のコントローラーの場合はものの見事にスティックの不具合ばかりであ る。サードパーティ製のコントローラーでよく見られる「ボタンが押しっぱなしになり 戻らない」「充電ができない」「ワイヤレスを認識しない」という不具合は Switch で は聞いたことがない。
これから考えられるのは「任天堂はできるだけコントローラーを丈夫に設計している が、一番壊れやすく汎用品であるスティックを丈夫にするのはスティックパーツ自体の 耐久性が上がらない限り困難」ということだ。
そして長年同じパーツが使われているのは改良されたスティックパーツが存在しないか らと考えられる。存在しているならとっくに改良されたものが採用され、任天堂のゲー ム機に限らず世の中にスティックが壊れるということ自体存在しなくなるはずである。
そもそも家庭用ゲームコントローラーはサードパーティ製のものよりしっかりと作られ ている。PC 用のコントローラーの耐久性を調べてみれば分かると思うが家庭用と比較し てもお粗末なものばかりだ。だから PC で家庭用ゲーム機のコントローラーを使う人は 多いのである。家庭用ゲーム機のコントローラーの耐久性にはほとんどのメーカーはか なわないのである。
スティックが壊れるのは現在のスティックパーツの耐久性の問題で難しい。 ならばどうするべきか私も考えたのだが、「スティック部分のみを取り外し可能にし て、簡単にユーザーが交換可能にする」ことしか思いつかなかった。 一部のコントローラーでアナログとデジタルを入れかえられるように取り外せる仕組み になっているものが存在するが、あれと同じ仕組みにするのである。 スティックのみ交換可能ならば修理が簡単で安くすむだろう。 ただしこの方法だと操作性に問題が出る可能性があるので簡単に採用とはいかない。
今回の Switch のコントローラーに関する問題についてだが、誰も嘘はついていないし 「これまでのゲーム機はコントローラーが故障していなかった」のも「Switchを使うよ うになってからスティックが頻繁に故障するようになった」のも事実であり真である。 それでも私が得られた結論は他の人が言っていることとは違っていた。 人の言うことには簡単に惑わされず、事実から真実を見抜けるようになっていきたいも のだ。
※: ちなみに、他のサードパーティコントローラーがプロコンと比較して耐久度が高いと いう事実も発見できなかった。どのコントローラーを使用してもスティックの故障は発 生するし、任天堂の認証を受けていないサードパーティ製のコントローラーだとス ティック以外の不具合が発生する可能性がある。「任天堂のコントローラーは壊れやす いからサードパーティを使おう」という理由で選択するのはオススメしない。
※: Switch などで使われているスティックパーツの RKJXV1224005 を調査した結果、昔 のものより高 耐久が謳われているパーツであることが分かった。スティックを互換品に変更すると簡 単に壊れるとか。メーカーのスペックシート上でスティック押し込み 5万回、スティッ ク回転 20 万回の耐久性能がある。 つまりメーカーはスティックの耐久性を上げる作業を怠っていたのではなく、高耐久な パーツを簡単に破壊するゲーマーの使い方がおかしい。
ちなみに今は RKJXV1224005 はディスコンになっているが、RKJXV122400R がスペック同 じで後継モデルのようだ。
スティックの耐久性能が 200 万回だとして、一年に 1000 時間ゲームをプレーしたら一 時間あたり 2000 回スティックを操作したら壊れる。 普通のアクションゲームでは毎秒スティックを操作することはないと考えられそうだ が、最近流行りの FPS や格闘ゲームでは細かなスティック操作が求められるので 1 秒 に一回のスティック操作だと容易に超過しそうである。
2020年5月7日木曜日
2020年3月28日土曜日
2020年2月23日日曜日
2020年2月15日土曜日
2020年2月5日水曜日
2020年2月2日日曜日
2019年11月4日月曜日
ポエム VimConf 2019 を終えて
https://www.slideshare.net/Shougo/vim-conf2019
VimConf に対する細かい感想は他の人に任せることにして、なぜ今回は最後の発表とし たのかについてポエムを書くことにしました。
私はこれまで何度も VimConf やその前身となる ujihisa.vim で発表してきました。 それは発表によって Vim を宣伝することで自分が世話になっていた Vim コミュニティ に貢献をしたかったからです。
しかし、VimConf というのはとても大きくなってきました。これまでのコミュニティの 成果だと思っています。 昔は発表する人が少なく、発表を希望すればほぼ発表が決まっていたのですが 最近は外 部から発表者を呼び、通訳も完備し発表者には審査もあります。ちゃんとした国際カン ファレンスへと進化したのです。
昨年自分が VimConf に落ちたときに考えました。「自分は定期的な発表をこのまま続け ていくべきだろうか」
発表するにはそれだけのインプットが必要ですし、発表準備に時間と情熱がとられま す。プラグイン開発を進めていきたい自分にとって、自分が本当に力を入れるべきは発 表の準備なのか?とはずっと考えてきました。
そこで、自分の定期的な発表は最後にしようと考えたのです。
次に発表するときは、自分が本当に皆に発表したいものが現れたときになります。 新しいプラグインが完成したら、LT として軽い発表をするかもしれません。
VimConf で久しぶりにいろんな人と出会って、自分もテキストエディタ活動を進めなけ ればいけないと新たな決意が生まれました。
Vim 界隈ではもはや古参になってきてしまった感がありますが、まだまだ他の人には負 けていられませんね。
最後になりますが、皆さんは VimConf で刺激を受けて、いろいろと思うことがあったか と思います。Vim や Vim コミュニティへの感謝の気持ちがあるのなら、ぜひとも次世代 の Vim コミュニティへの貢献をお願いします。今いる人達がいつまで貢献を続けられ るかは分かりません。それは私もそうです。他の人に頼るのではなく、自分が他の人に 頼られる存在になれるようにしてください。昨年の VimConf で刺激を受けた人が今年の VimConf でより素晴らしい活動をしています。次の Vim コミュニティを支えるのは他で もないあなたなのです。
2017年11月23日木曜日
近況報告と VimConf 感想に代えて
今回の VimConf は本当に国際カンファレンスだったなと思います。
この大きな舞台に、完成した新しいプラグインをアピールできればと思っていたのですが、残念ながら私の力が及ばずプラグインの完成には至りませんでした。
期待していた方々には申しわけないと思っています。
私は最近、毎年新しいプラグインを作成することを目標としていました。
2015 年: deoplete.nvim
2016 年: denite.nvim, dein.vim
2017 年: deoppet.nvim
今年開発するプラグインはファイラーにするかスニペットプラグインにするか悩みましたが、個人的に neosnippet をどうしても置き換えたかったのでスニペットプラグインの deoppet.nvim と決まりました。途中までは順調に実装ができたものの、その後重大な問題に気付きます。
まずはそもそも開発時間がとりにくくなったということです。
その原因は私の TL を見れば分かる通り、デジタルカードゲームという趣味ができてしまったことにあります。
おかげでもう一つの趣味であるゲームはほとんどできなくなりました。これまではゲームの時間を削ってプラグイン開発にあてていたのですがプラグイン開発の時間も侵食されております。
更に、これまで開発してきたプラグイン dein.vim, deoplete.nvim, denite.nvim が有名になりバグ修正や機能追加に追われることになったというのも、開発の遅れに大きく影響しています。
最近でいうと deoplete.nvim の Vim 8 対応はライブラリを利用したとはいえ、かなり労力がかかりました。
deoplete.nvim はまだ大きな変更を控えており、しばらくは楽になりそうにありません。
自動補完プラグインの開発競争は激しくなっていて、他の自動補完プラグインに負けるわけにはいかないのです。
極めつけが、モチベーションの維持が難しくなったということです。
プラグイン開発作業は孤独です。特に大きなプラグインを新しく一から作成するというのは途方もない労力を必要とします。
本来、何度もできることではありません。考えてみれば当たり前のことなのに、これまではそれができていたという理由で私は全然考えていなかったのでした。
他の皆がプラグイン開発以外のものに興味を持ち、プラグイン開発からどんどん離れていくというのはなぜだろうと長年疑問に思っていたのですが、そういうことだったのですね。
deoppet.nvim の開発を再開するのは時間がかかりそうですが、来年になれば実用的なものになることでしょう。
いましばらくお待ちください。
neosnippet.vim の今後に関してですが、deoppet.nvim がまともに使えるようになるまではメンテナンスを続ける予定です。
ただし、新機能の実装に関してはかなり消極的になっているのでほとんどやらないと考えてください。
deoppet.nvim が実用的になった場合、私は neosnippet.vim から移行する予定です。
VimConf 会場で驚いたことといえば、参加者の 30% は neovim の使用者だということです。
日本でもそれだけ neovim が広がっているということですね。
しかし neovim の開発状況を理解し、neovim についてちゃんと語ることのできる人は少ないです。
日本の Vim 開発者の主戦場は Vim であり、neovim の開発は Vim とは独立して行われているからです。
Vim と neovim は何が同じで、何が違うのか、利点と欠点は何なのか知ることは大事です。
発表の機会があれば、VimConf で neovim について発表できればなと思います。
2017年10月29日日曜日
最近のウォーオブブレインズ界について (2)
回覧板: 10/31 にウォーオブブレインズ(ウォーブレ)の生放送がある予定です。生放送には久しぶりにタキニキが登場し新情報が発表されるらしいので、もしかするとナーフが発表される可能性もあります。ウォーブレ村民の皆さんは必ずチェックするようにしましょう。
これまでのナーフでもおわかりかもしれませんが、壊れるのは大抵 4 コスト以下の低コストカードです。もしくはコストが低減されたゲームチェンジャーカードです。
ゲームチェンジャーとして唯一ナーフされたのは王龍ですが、これはコストの低減が簡単だった、そもそも 7 コストでも強かったのが原因でしょう。
王龍は 8 コストになっても何事もなかったかのように使われています。
もちろん、純粋なカードパワーとしての壊れカードは高コストのゲームチェンジャーのほうなのですが
高コストカードは事故要因になるし、高コスト帯にゲームがなるときは相手側にも手札に何かしらの対策があることも多いのです。
しかし、低コストのパワーカードはゲームの展開を一方的なものにします。低コストのカードを追加するときは、よりバランスを考えないといけません。
今回はナーフ案とカードの問題点について詳しく解説を行いました。
できるだけ冷静に分析して私怨が入らないようにしましたが、なにか問題がありましたら申しわけありません。
注意: 今回の記事は自分のなかで解説したかったことをこれまでかと吐き出したこともあり、とても長くなっています。分量は前回の記事の 3 倍以上です。じっくりと味わってください。
1. ラピスのナーフ優先カードについて
ラピスは主にブーストラピスが暴れています。ブーストラピスのキーカードのナーフは必須となるでしょう。
ヨミ 優先度 S
「なぜこのカードを作った!言え!」
言わずとしれたウォーブレ界最強カード、実質ゲームチェンジャーです。他のカードは単体ではあまり活躍せず、コンボで壊れますが、このカードは単体で壊れています。
その強力さは第三弾の 強力 4 コスト枠にラピスだけ新カードがない点からもあきらかでしょう。
このカードはどのようなラピスのデッキにも入ります。事故要因となるアサギリオルトよりも重要性が高いです。
ヨミの効果をまだ知らないという幸福な人達はぜひヨミの効果を調べて「なぜこのカードを作った!言え!」と叫んでください。
参考: 強力 4 コスト枠
ニュートラル シルヴィア
ラピス ヨミ
シェド アマリス
ユニオン エレファンク
タオシン ダッキ
マグナ イプシロン
Note: 本来、ラピスの第三弾強力 4 コスト枠は白狐だったと思われます。しかし白狐は効果が強すぎたので実装前にナーフされてしまい、ほとんど使い物にならない効果となってしまいました。
例えば、似たような効果のオズワルドと比較してみましょう。
オズワルド
* ゲームチェンジャーで一回しか使えない
* 単体で完結
* メモリ 5 が必要。ヨミより少し重い
* 攻撃力は最低 4、最大 9
* コストを踏み倒せない
* ダメージを受けない代わりに自分のソウルが減る。実質体力 5 〜 13
* 自分の場にガーディアンがいるなら無視する選択肢もあり
ヨミ
* なぜかスーパーレアなので 3 回使える。ラピスのデッキなら間違いなく 3 枚入っている
* 単体で完結
* メモリ 5 が必要。ヨミより少し重い
* 攻撃力 3 だがバフは簡単
* コストを踏み倒して 1 にすることができる
* ソウルは減少しない。これはソウル量がリーサルに直結するラピスでは重要。実質デメリットなし
* 処理できずに放置するとリーサルに近づく
三回使えるというのが思ったよりも凶悪で、オズワルドは一枚でも凶悪なのに、これが三枚いたら対処のしようがありません。
国家によってはヨミが 1 体出るだけで完全に止まります。
参考: ヨミの対策
ラピス 黒般若、アサギリ
ユニオン ソウルバースト、オーバータイムディライト
マグナ イプシロン、アラディア、ディアマンテ
タオシン 蜂(無理)
シェド 無理
マグナの壊れゲームチェンジャーと比較しても、ヨミの凶悪さがおわかりいただけますでしょうか。
これはもはやラピスにオズワルドが存在するようなものです。
前置きが長くなってしまいましたが、ナーフ案を発表します。
* ウォーブレの闇として削除する。どうしてこんなカードを作った!言え!
* 名誉のゲームチェンジャーに昇格させる。どうしてこんなカードを作った!言え!
正直なところ、私は削除することを推奨していますが、これはデジタルカードゲームですからね。さすがに無理でしょう。はぁ……
それでは現実的なナーフ案は以下の通り。
* ブーストを削除する。アンタッチャブルを削除する
* ブーストを削除する。ログイン時のライフアップを削除し、アンタッチャブル 4/3/3 とする。
* ブーストを削除する。ライフアップ効果をソウルを 3 消費して、残りのソウル分ライフアップに変更する。
どのようなナーフ案でもブーストは許されません。この効果でコストの軽減が可能ではいけないのです。
例えば誰だってオズワルドやシャドウバースのイージスが 1 コストで飛んできたら頭を抱えるでしょう。
しかも第三弾になって、ラピスはサーチやコスト軽減が簡単になってしまっているのです。
効果をどれか削除するか、ログイン時にソウルを消費するようにして、デメリットを与えてあげればライフ増加にはどめをかけることができ、ラピス側としてもソウルバーストが遠のくことによる裏目となります。
長くなったのでまとめましょう。現在のヨミの問題点は効果を盛り込みすぎており、何のデメリットもなく、どれも強くて腐らないことです。それこそ「ぼくの考えたウォーブレさいきょうカード」状態です。
このゲームはライフが 4 を越えると非常に除去しにくくなります。マグナ界の伝説の 4 コストイプシロンの強さは 4/3/4 のバニラスタッツにもあります。
さらにほとんどの除去カードは対象を取るので、アンタッチャブルであるというだけで格段に除去が難しくなります。
なので、序盤に 4/3/5 アンタッチャブルが飛んでくるだけで十分強いのです。
しかし現実的にはゲーム終盤に 4/3/8, 4/3/9, 4/3/10 のヨミが飛んできます。こんなものをまともに対応できるわけがありません。
能力の無効化によって対応しようにも、アンタッチャブルまで付いているので対処も限られています。
ヨミは正直なところどの国家にいても強く、ぶっこわれカードと言われるでしょう。その中でもリーサルまでソウルバーストを温存してソウルを貯めやすいラピスにいるのが一番最強で最悪なのです。
アサギリ 優先度 S
このカードがダメージを与えたユニットを破壊するという能力を与えるコンボ限定カードです。いろいろなコンボがありますが、その凶悪さはアルトオルトとのコンボのアサギリオルトがぶっちぎりでしょう。これはシャドウバースでいうバハムートに匹敵します。
なぜなら、ガーディアンが並んでいても相手の盤面を簡単に全滅することができ、特にデメリットもなく、相手はアルトオルトを破壊しなければ盤面を完全に制圧されつつげるからです。
ラピス相手に盤面を制圧されるということは、次ターンに OTK が飛んでくることを意味します。
他の各国にもここまでお手軽な AOE は存在しないでしょう。
例えば、同じ盤面リセットのインドラと比較するとその違いは明確です。
インドラ
* ゲームチェンジャーで一回しか使えない
* 自分の盤面までリセットされる
* メモリ 8 が必要。重い
* 自分のメモリが破壊される
アサギリオルト
* コンボパーツを三枚積めば 3 回使える
* 二枚コンボ
* ダメージを軽減されると効かないが、ダメージ軽減できるのはシェドとダンダマイトのみ
* 自分の盤面はそのまま
* 三回も使える、相手にアルトオルトの除去を強要させる
* 最大メモリ 7、運が良ければ 5
* メモリは破壊されない
ゲームチェンジャーと比較しても、アサギリオルトの凶悪さがおわかりいただけますでしょうか。
アサギリオルトの存在は現在、ラピスが Tier1 となっている一つの理由でもあります。
二枚必要となるコンボですが、コンボ成功率は白獅子よりも高いこと、ブーストラピスならデッキから持ってくることも容易なので猛威を奮っています。
コスト 5 アサギリオルトはほぼゲームエンド行為であり、実質的に対処が不可能です。
ちなみにナーフすべきなのはアルトオルトではなく、アサギリです。
なぜならば、アルトオルト自体はコスト的に妥当なカードであり、アサギリと組み合わせたときのみ壊れるからです。
もしアルトオルトをナーフしたとしてもアサギリは今後の追加カードで暴れる可能性があります。
アサギリをナーフするなら、このカードとブースト時の効果を「このカードが戦闘でダメージを与えたときに、そのカードを破壊する」という効果に変更すべきだと思います。
余談ですが、タオシンの蜂もアサギリと同じく「このカードがダメージを与えたユニットを破壊する」となってますね…。
イナバ 優先度 A
第三弾で現れた劣化タンゲ。第三弾でタンゲをナーフすることはもう決まっていて、ラピスにタンゲに代わるクイックを与えるために追加されたと思わしきカードです。
タンゲとは異なりブーストはオーバーヒートで使えず、このカードは単体では使いものになりませんので、他のカードとのコンボが前提となります。
イナバセツナの他、ハナイナバ、心喰いイナバも凶悪。地味にヨミイナバも強力。召喚酔いのあるこのゲームでやはりクイックは強力すぎます。
クイックは他のカードも凶悪なので、もしクイックが顔面にダメージを与えられないのならば、ヴォルカもナーフされず相手に理不尽を与えることはなかったと思うのですが……。
巷でかなりヘイトを集めているカードではありますが、リーサル以外では使いものにならないので実はアサギリやヨミのほうがナーフ優先度は高いです。
他のカードを大量にナーフするならばナーフなしもありえます。
このカードのナーフはあまり簡単ではありません。
なぜなら、
* コストを上げる。イナバセツナはできなくなるだろうが、他のカードとの組み合わせでやはり悪用される。さらに、クウや占い師によりコストの踏み倒しも可能。そちらも調整するとナーフ枚数が増えてしまう。
* ブースト時の攻撃力アップを削除。ブーストは一時的に能力アップをし、特殊な能力を与える。攻撃力アップを削除するとブーストのデザインと合わない。
現実的なナーフ案は以下の通りです。
ブースト時のバフはそのままに、獣ユニットにブーストしたときのみクイックを与える。
獣デッキでのみクイックを使えるようにします。タンゲを獣のみにしたように、獣デッキのコンセプトをクイックにすればよいのです。他での悪用は難しくなります。ブーストのデザインも壊しません。
鹿 優先度 C
なぜコモンなのにこんなに強いのかと言われているカードです。効果の無効化も、5/3/4 のガーディアンも絶妙に強いです。
強いカードではありますが、他のカードと比較するとナーフの優先度は控えめ。
もしナーフをするならばスタッツを 5/3/3 にするべきでしょう。沈黙効果の削除はボイス的に無理です。
ゴッツ 優先度 B
ラピスの第三弾での強化を表している象徴的なカードです。クロベエゴッツ、クロベエシリメツレツがとても強力です。
ナーフをするならば強化ステータスを +0/+1 にすることでしょうか。とりあえず、ゴッツ君は 3/2/2 ガーディアンのダンベルに謝ってください。
先日のエラッタでテキストが修正されたおかげもあり、今回のナーフは望み薄です。
白獅子 優先度 B
ウォーブレの顔のゲームチェンジャーカード。どんなラピスのデッキにも入ります。最近のラピスは手札に白獅子をキープすることも多いためリーサル時によく現れます。
タンゲのナーフ前は相手の厄介なカードの除去のために雑に使われることの多かったカードですがタンゲのナーフ後にはリーサルが安定しなくなったため、白獅子の使い方が重要になりました。よって、より印象に残るようになったのだと思われます。
もしナーフをする場合、オーバーヒートの +2/+2 がクイックと相性が良くて凶悪なのでオーバーヒート時 +2/+2 の削除でしょう。
ただしゲームチェンジャーのナーフは運営も躊躇するでしょうし、他のナーフでラピスは十分弱体化するので優先度は控えめです。
白獅子のナーフをするなら、ぜひ獅子王にバフを…。もしもイナバのナーフをしないなら優先度が S になります。
2. ユニオンのナーフ優先カードについて
ユニオンにはエモΣ とテンポユニオンという環境デッキがありますが、序盤の動きは似ています。どちらのデッキにも入るキーカードをナーフすることで弱体化させることができるでしょう。
メイグル、モルモンズオーダー 優先度 S
メイグルとモルモンズオーダーはセットで使用されるので、まとめて解説します。
メイグルは効果だけ見ると強さがよく分かりませんが、ユニオンの最強カードの一つです。
モルモンズ・オーダーはメイグルをナーフしないならナーフ必須です。メイグルやシルヴィアをナーフするならば、そのままの可能性もあります。
モルモンズ・オーダーとメイグルの強さを似たような効果の獣の饗宴と比較しましょう。
獣の饗宴
* 3 コストスペル
* 2 コストの獣をデッキ外から出す。切れることがない代わりにアカマムシというゴミカードが出現。スタッツの低いカードも多い。ワンゴロウが一番の当たりカード
* 獣が 2 体出るには場に獣が必要
* 他のカードとコンボすればクイックが付けられる
モルモンズ・オーダー
* 3 コストスペル
* メイグルを必ず 2 体出す。特にデメリット無し
* 2 コストユニットをデッキ内から出す。出しすぎると切れる代わりにデッキの圧縮が可能
* デッキから出るため構築を工夫でき、ゴミカードは出ない
* メイグルによりソウルを必ず得られる
* ユニオンのスペルなのでコスト軽減が可能
* メイグルを割ることで他のカードとコンボしてアドを得る
* そのターンは何もできないが AOE に強い
明らかにモルモンズ・オーダーの強さが光ります。
メイグルがなぜナーフ後に暴れたのか解説しましょう。A2 環境ではコンボできるカードが少なかったので、メイグルは弱いカードの扱いでした。ナーフ前の A3 ではコンボカードの追加で確かに強かったのですが、訂正者によってメイグルが簡単に無効化できたのであまり暴れることができませんでした。
ナーフ後の A3 環境でようやくメイグルが本領発揮して暴れているといえます。
メイグルのナーフ案としては、そもそも「メイグル破壊時にソウルは得られない」「デッキから 2 コスト以下のキメラ」とするのがよいでしょう。
デッキをキメラ軸に寄せないと採用が難しくなります。そもそもメイグルから人間ユニットが出てくるのがおかしいです。
モルモンズ・オーダーのナーフ案としては実質的にコスト 2 が 2 体出てくるので、今のメイグルの効果のままならばコスト 4 が妥当でしょう。もしくは獣の饗宴のように、盤面にキメラがいるときのみメイグルを 2 体出すというナーフ案もありです。三ターン目でのモルモンズオーダーが安定しなくなります。
メイグルかモルモンズ・オーダーのナーフはどちらかが必須です。ただ、モルモンズ・オーダーだけナーフした場合、他のメイグルコンボの凶悪さは健在なのでユニオンのカードをより多くナーフする必要があるでしょう。
エレファンク 優先度 B
メイグル割りによる回復とダメージが凶悪で、パワーアップされると手が付けられません。オーバーヒートで無理矢理リーサル圏にもっていくこともできます。
第三弾の 強力 4 コスト枠の一体です。
ナーフするなら、スタッツを 3/1/1 に下げる、もしくは回復効果の削除のどちらかでしょう。
ブラッディ・スクリーム 優先度 A
お手軽 AOE として強すぎる上に、メイグルやトランス、ソウルバーストとの相性がよくコストを軽減できる、ぶっこわれカードです。
コスト 4 にするか、ダメージは全体 1 にすべきでしょう。
マジックボイル、トランス 優先度 D
確かに強いカードであるのですが他の壊れカードに比べると使いどころが難しく、コンボ先が弱体化すれば流暢に使っている暇はなくなるでしょう。
ゴミカードにせずにナーフするのも難しいので、今回これらのカードにナーフは不要ではないかと考えています。
3. ニュートラルナーフ優先カードについて
シルヴィア 優先度 S
通称「ニセコイ」「村の暗部」と呼ばれるカードです。ウォーブレ界ナンバー 2 といっても良い凶悪な効果を持っています。
別名「村の暗部」なのは、ウォーブレ村の財政が厳しかったときにユーザーから集金するための強力カードとしてデザインされたためです。
その効果は戦士にインパクトかガーディアンを与え、全ての味方ユニットをバフします。自分自身も戦士なのでガーディアンになります。
全ての味方ユニットのバフが凶悪でどんな状況でも腐らず、最悪 3/3 インパクトか 2/4 ガーディアンで最低限単体でも役立ちます。
序盤から終盤、リーサルまで大活躍します。オーバーヒートでシルヴィアされてリーサルというのもよく見ることでしょう。
シルヴィアは以下に示す第三弾シェドのカード「タナトス」の効果を見習ってください。シルヴィアと比較すると貧弱な効果に皆が恐れおののくでしょう。タナトスは確かに貧弱な効果ですが、そもそもシルヴィアが強すぎるのです。
タナトス
* A3 のスーパーレアカード
* シェド専用
* 5 コスト
* 実質 4/3 インパクトか 4/4 でメモリ破壊
* バフは戦士ユニット 1 体 +1/+1 か 戦士ユニット 1 体 +1/+2 でメモリ破壊
シルヴィア
* A2 の SP Promo カード。もともとボックス特典。
* ニュートラル
* 4 コスト
* 実質 3/3 インパクトか 2/4 ガーディアン
* バフはユニット全体 +1/+0 か +0/+1
* 戦士全体にインパクトかガーディアンを与える
ちなみにシャドウバースではアリスという似た効果を持つユニットが存在していますが、強力すぎてナーフされたのでシルヴィアはシャドウバースのアリスより強いということになります。
しかも、ウォーブレではスタッツがインフレしているシャドウバースよりも攻撃力 1 やライフ 1 のバフが重要です。
シルヴィアはもともとマグナや AOE のメタカードとして猛威を奮っていましたが、マグナの弱体化とのおかげで小型ユニットのバフとしての価値が上がりました。
特にメイグルとの組み合わせはユニオンの鉄板ムーブとなっています。
シルヴィアが前回ナーフされなかったのは、シルヴィアはマグナへのメタカードであるために調整が難しくマグナの復権を警戒したのでしょう。
このカードはニュートラルであり、ほとんどのデッキに入っているためにナーフは簡単ではありません。
もともとマグナや AOE のメタカードなので、メタカードとして使えるような調整を施す必要があります。
私もいくつかのナーフ案を考えました。しかし、どれも微妙です。
* コストを上げる。単純に使いにくくなる。メタカードとしても使いにくい。
* バフ対象を絞る、もしくは左右のみバフとする。効果が分かりにくくなる。プレーミスが増える。メタカードとしての役割が弱くなる。
* スタッツを下げる。単体では使いにくくなるが、凶悪なバフ効果による理不尽さが残る。
そこで、このナーフが一番よいと結論付けました。
全体へのバフ効果をソウルを 3 消費したときのみにする。
このようにすることで、あまり使用感は変わりませんが劣勢時に使いやすくなります。
さらに、ソウル消費があること、ソウルバーストを使用すると圧倒的に弱体化するので、シルヴィアやソウルバーストを使うタイミングや採用枚数は考えなければいけません。
ソウルを消費しないとバフがかからないので、シルヴィア本体も擬似的にスタッツが下がります。シルヴィアの役割を残しつつ、弱体化させるにはこの方法しかないと思っています。
リベリー 優先度 C
別名 1 コストキラー。優秀なスタッツとリワード効果が凶悪です。
相手のスタッツが 2/1 ならば 2 コストすら取れます。このカードのせいで 1 コストや 2/1 の価値が暴落しているといっても過言ではありません。
他の国家固有 2 コストが貧弱なので仕方なく使われていることもあります。
ナーフするならスタッツを 2/1/2 にします。
4. その他の国のナーフ優先カードについて
イプシロン 優先度 A
マグナは水着キアナの追加でイプシロンが使いやすくなったので復権しつつあります。マグナは現環境での Tier 2 です。
マグナはヨミを処理できる数少ない国の一つであり、ラピスにそれほど大きく不利はついていないというのが復活の理由です。
ラピスやユニオンが弱体化、特にメタカードであるシルヴィアがナーフされると絶対に Tier1 になります。
よって、イプシロンだけはナーフするべきでしょう。水着キアナというカードの追加自体、イプシロンのナーフの伏線に見えます。
イプシロンのナーフ案はスタッツを 4/3/3 にし、攻撃力ダウンを -2 から -1 にします。イプシロンキアナのコンボでのみ従来のイプシロンと同等になるので、これだけで大幅な弱体化をします。
水着キアナのコスト変更の効果がおかしいと叫んでいる人がいますが、水着キアナはイプシロンとのコンボで使わなければさほど壊れたカードではありません。
あのコスト変更自体はゲーム側の仕様でしょう。調整するのはイプシロンで十分だと思われます。
ユウユウ 優先度 C
このカードに関してはタオシンの AOE 対策であり生命線です。
シルヴィアがもしナーフされると、AOE に弱いタオシンへの影響も大きくなります。
シルヴィアがナーフされるならナーフはなく、シルヴィアがナーフされないならばナーフの選択肢に入ってくるでしょう。
ナーフするとすれば復活時のソウル消費を 3 にすれば十分です。
ダンダマイト 優先度 B
三枚の積み込みやジャオロンによるサーチやコスト軽減が可能で、ソウルバーストで復活する厄介なカードです。
ただコスト 7 なのは重い。
対策としてはバウンス、効果の無効化や除去カード、強いカードでのごり押し、コントロール奪取などで比較的メタカードでの対処はできます。
ダンダマイトのおかげでマグナのブラックオペレーションの搭載率が上がっているのは注目ポイントでしょう。
正直いってメタカードがある分ヨミよりマシです。
もしナーフするならば、二点以下のダメージを 0 にしてスタッツ 7/4/4/ にすることでしょうか。
それでもほとんどの AOE には耐えるので、まだまだ強そうです。
タオシンにナーフが来るならば、ユウユウよりもこちらのほうが優先度高いでしょう。
アパッチ 優先度 D
別名:調整されたテンホウ。
確かに強いのですが、自傷ダメージが思ったよりも痛く、ライフが 3 と絶妙なのもあいまって相手に処理されやすいです。
自分のライフを削ること自体がラピスが暴れている現状では向かい風なのもあり調整はされないのではと考えています。
ポテミータ 優先度 D
シェドはもとからあまり強くなく、ソウルバーストが最弱なのでナーフ対象に入るのか非常に微妙であるのです。
水着キアナはリリアがナーフ前なら暴れたでしょうが、リリアがナーフされた以上、シェドでは便利なバフカード止まり。
それでも、一応ナーフ対象に入る可能性があるとすればポテミータ。
ナーフするならば、ソウルがマックスの状態でのみ攻撃力が 2 倍になるくらいでしょうか。
もしも各国のソウルバーストに手が入るのなら、シェドのカードにもどんどん調整が入るとは思われます。
それではまた次の機会まで、お別れだね……。
2017年10月27日金曜日
最近のウォーオブブレインズ界について (1)
私は最近 Twitter でウォーオブブレインズ(ウォーブレ)についてかなり言及していますが、たまにはブログ記事でウォーブレ界に何か貢献しようと思い、今回は筆を取ることにしました。
注意: 私自身、ウォーブレをプレーする時間があまり取れていないので推測も多分に混じっております。
絶対的に正しいことを書いているわけではないことをご承知ください。
今回の話は完全にウォーブレプレイヤー向けです。ウォーブレの解説はしないので、ウォーブレの事を知らない人は適当に調べてください。
現在のウォーブレの話をする前に、ウォーブレの環境の移り代わりについて振り返ってみましょう。
1. 第二弾環境について
第二弾環境も終わりに近づいた 7 月、ウォーブレ界では人口爆発が起きました。これはとあるデジタルカードゲームから人が大量に流入したためです。私もこの時期にウォーブレを始めました。
このころ一番強いと言われていたデッキは「テンポマグナ」と「ウイルスユニオン」であったと思います。どちらも第二弾環境の追加カードにより現れたデッキです。強いデッキは存在していたものの、プロモカードによる調整のおかげで他の国のデッキもそこまで悪くはなく、色々なデッキや国が見られる時期でした。
ただし、良環境であっても人が飽きるのは早いもの。7 月の終わりから 8 月の頭にかけ
て人々は新カードと新環境を求めるようになっていきました。
2. 第三弾環境について
そして 8 月に第三弾がリリースされることになります。第三弾では多数の新カードが追加され、いろいろなコンセプトのデッキが生まれること
になりました。
第三弾では何のデッキが強くなったかというと、やはりテンポマグナでした。ウイルスユニオンはもう完成していたので新規カードがほとんどなかったこと、デッキの軸となるデスアリゲーターがテンポマグナの訂正者と呼ばれるカードに弱いこともあり少なくなってしまいました。
第二弾でも十分強かったテンポマグナですが、第三弾になり更に強くなりました。マグナがイプシロンやゲームチェンジャーの追加により強化されたためです。結果、テンポマグナの一人勝ちのような状況が生まれます。他のデッキを使う皆の不満が高まっていきました。
そんな状況で現れたデッキが通称「エモΣ」です。このデッキはテンポマグナを倒すために開発された一種のソリティアデッキです。準備が整ったら盤面を無視してプレイヤーに直接ダメージを与えます。
更に、テンポマグナを倒すべくタオシンがアグロタオシンになります。結果として第三弾環境は「テンポマグナ」「エモΣ」「アグロタオシン」の三つ巴の争いとなりました。「エモΣ」はソリティアデッキなので、やっている人は楽しいのですが対戦者の不満が高
まっていきます。
それを見かねたのか、運営が環境調整を発表し、その場は収まることになりました。
3. ナーフについて
そして 9 月に待望のナーフが行われました。実際にどのような調整が行われたかは以下
をご覧ください。
http://www.takaratomy.co.jp/products/wob_ocg/information/information_20170831/
見てもらえば分かる通り、マグナを中心にナーフが入っていることが分かります。エモΣ対策としてクローンフィーバーにナーフが入りました。
他にも A1 のカードにナーフが入っていることが分かります。これは、もともと第三弾後の 8 月に A1 のカードをナーフする予定であったのではないかと考えられます。カードゲームにおいて初期にデザインされたカードは大味で強すぎるデザインになってしまうことがあります。それらのカードを適正な強さにしようと考えていたのでしょう。
そう考えるとナーフとして異様なのはプロモカードの訂正者と唯一の A3 カードのクローンフィーバーです。A1 カードの調整にマグナの調整とエモΣへの調整を無理矢理押しこんだようです。そのため、カードの調整は遅れて 9 月になってしまったのだと考えられます。
エモΣのキーパーツであるエモやΣにナーフが入らなかった理由についてもお話しします。まず、エモΣはユニオンのデッキです。エモはニュートラルカードですがユニオン以外で
は暴れていないのでユニオンのカードに問題があることになります。Σはゲームチェンジャーのカードです。ウォーブレの顔とも言えます。能力は凶悪ですが他のデッキでも使えますし、運営はできるだけゲームチェンジャーをナーフしたくないと考えたのでしょう。そして、このナーフは想定外であることからナーフできるのはおそらく一枚。一枚のナーフでエモΣを大幅に弱体化させ、他のデッキに影響をほとんど与えないカード、それはクローンフィーバーしかありえません。クローンフィーバー自体の能力も凶悪なので他のデッキで悪用されるのを防ぐ面もあったのでしょう。
なぜかシェドのカードにナーフが入っていますが、これはおそらくシェドはマグナに虐げられてきたので、マグナがナーフされたことでシェドが強くなるのを考慮したのではないかと私は考えています。
さて、環境は運営やユーザーの思惑通りとなったのでしょうか……?
4. ナーフ後について
ナーフによりマグナの力はかなり衰えました。もともとマグナは序盤があまり強くない国なのです。序盤の動きを封じられたことで、かなり動きにくくなりました。
ナーフ直後にはマグナが激減し様々なデッキが息を吹き返してきました。シェドも増えました。クローンフィーバーがナーフされ、マグナがいなくなったことでエモΣもほとんどいなくなりました。
ただ、ナーフ直後にランクマッチに潜ると私は「なぜか急にラピスが増えたような……」と感じていました。その懸念は後に最悪な自体を引き起こすということを知らずに。
一週間も経つと、環境が固まりそこは地獄となりました。
環境にラピスやユニオンが激増していたのです。からくりはこうでした。マグナにいじめられていたのはシェドだけではなかったのです。ラピスやユニオンもマグナにいじめられていました。
シェドはナーフを受けましたが、ラピスやユニオンはナーフの影響をあまり受けませんでした。ラピスはデッキの核となったタンゲがナーフされ、エモΣ以外のユニオンはそこまで目立っていなかったのでラピスやユニオンが弱くなりすぎることを危惧していたのでしょう。しかし、ラピスやユニオンは運営が考えていたよりももっと強かったのです。マグナがあまりに強かったので本領を発揮できていな かっただけです。これらの国が強くなったのはラピスやユニオンの序盤に優秀なカード が第三弾で追加されていたからです。
そもそも、マグナやシェドは弱いソウルバーストをカードパワーで補ってなんとかしていました。しかし強いカードがどんどんナーフされカードパワーが他と同等程度に落ちてしまいました。結果どうなったかというとソウルバーストが強い国が強くなったのです。当然の結果です。
ナーフ後の環境デッキは「テンポユニオン」と「ブーストラピス」です。テンポユニオンはメイグルからの2コストユニットやエレファンクで盤面を制圧するデッキ、ブーストラピスはワンターンキルを狙うデッキです。環境の改善にはテンポユニオンとブーストラピスの弱体化が欠かせません。
さて、次はカードをどう調整するべきかという話になるのですが、長くなりそうなので
また次回。
2015年5月17日日曜日
HP Elitebook Folio 1020 レビュー
初めに:
私はこれまで使用していた Thinkpad X200 を主に開発作業に使用していました。このマ
シンは気に入っていたのですが、ノートパソコンメインでいろいろな作業をしていくに
あたって不満も出てきました。
そこで最近のノートパソコンについていろいろと調査し、HP の Elitebook Folio 1020
が一番良さそうだったのでこれを購入することにしました。
HP Elitebook Folio 1020 は最近到着し、今ではメインマシンとして使用しています。
残念ながら、日本では Elitebook を購入する人が少なく、購入を検討しても情報を集め
にくい状態が続いています。もしかすると、私の他にも HP Elitebook Folio 1020 につ
いて気になっている人がいるかもしれません。
ここでは旧メインマシンである Thinkpad X200 との比較を中心に、HP Elitebook Folio
1020 のレビューをしようと思います。
良い所:
* ファンレス
Thinkpad X200 のファンと熱に辟易していた私にとって、ファンレスの Elitebook
Folio 1020 はそれだけで選ぶ価値のあるものでした。
MacBookAir は一見ファンレスのようにも見えますが、実は液晶との接続部分に穴があ
り、そこから熱を逃がす設計となっています。Folio 1020 は完全にファンレスで穴も一
切ありません。無音状態の PC は静かで本当によいものです。
ファンレスモデルということで、熱が気になる人もいることでしょう。
Core M は発熱が少ないとはいえ、当然熱はあります。使用しているときは、底面がほん
のり温かくなります。Thinkpad X200 の底面の吸気口と同程度の温度でしょうか。個人
的には吸気口よりも排気口の熱が気になるので、排気口レベルの熱がないぶん助かって
います。
インストール作業などでこのマシンにずっと負荷をかけると、パームレスト部分まで熱
が来ます。この状態はさすがに不快となります。ファンレスの PC に負荷をかけること
はオススメしません。Gentoo Linux や BSD 環境など、毎日コンパイルをするような環
境として利用するのはやめておいたほうがよいでしょう。ファンレスのノートパソコン
は放熱に時間がかかるので、そこにも注意が必要です。
* 質感
MacBookAir のパクリと言われればその通りなのですが、金属のボディは質感が高いです。
この表面はヒートシンクも兼ねているので、熱がノートパソコン表面に伝わりやすいの
で注意してください。
* バッテリ持続時間
Linux 環境でテキストエディタ中心の開発作業をしている場合、 6 〜 7 時間持ちま
す。普段は AC アダプタを接続せずに使用できるので、この程度でも十分です。
Core M は低消費電力なのになぜもっとバッテリが持たないのか、と思われるかもしれま
せんが、薄さを重視した Elitebook Folio 1020 は 4 セル 36Wh しかバッテリ容量が
ありません。アイドル時の消費電力は Core も Core M も大差がないので、バッテリ容
量勝負となります。Broadwell の Core プロセッサのノートパソコンは 6 セルバッテリ
を搭載しているものが多く、そちらにバッテリの持続時間が負けてしまうのは当然で
す。しかし、Haswell ノートパソコンとなら十分戦えるレベルです。
このマシンは長く使いたいので、 1000 回寿命のある高耐久バッテリを採用しているの
もポイントが高いです。
* AC アダプタ
AC アダプタは 45W のものでかなり軽量です。しかし、コードはそれなりに太く、耐久
性が確保されています。実は Core M マシンの消費電力は負荷を掛けても 30W 程度なの
で、45 W の AC アダプタでもオーバースペックだったりします。そのせいなのか、この
マシンの AC アダプタの発熱はほとんどありません。Thinkpad X200 は AC アダプタが
65 W で比較的コンパクトなものの発熱量が大きく、マシンに負荷を掛けた状態では触れ
ません。
* 高解像度
Thinkpad X200 の 1280 x 800 の解像度はさすがに狭いと考えていたので、1920 x 1080
のフル HD 液晶は広々と使えて良いです。ただ、デフォルトの状態では文字はかなり小
さくなってしまい、フォントサイズの調整は大変です。
* 液晶(Special Edition は未確認)
ビジネスで使う場合、液晶がグレアかノングレアかというのは重要な要素になります。
このマシンは幸いなことにノングレア液晶です。おそらく、反射防止フィルムが標準で
貼ってあるのでしょう。このマシンは MacBookAir を真似したモデルだということで、
グレア液晶でも我慢しようと考えていましたが、嬉しい誤算でした。MacBook(Air) は
基本的にグレア液晶なので、ノングレア液晶が好きな人には大きなアドバンテージで
す。
Thinkpad X200 は輝度を最低まで下げても十分画面が見えるほど明るいのですが、この
マシンは画面の輝度を最低まで下げると画面が完全に真っ暗になります。消費電力が気
になる人は輝度を下げるとよいでしょう。
液晶は最近流行の狭額縁モデルではないので注意が必要です。
* サイズ
画面サイズは 12.5 インチですが、本体自体は MacBookAir 13 インチとほぼ同じくらい
のサイズです。そのため、MacBookAir 13 インチと同じケースが使用できます。12 〜
13 インチはモバイルにも自宅でも使えるサイズです。その分中途半端になるかもしれ
ません。MacBookAir 11 インチよりも明らかに大きいので、モバイル向けの小さい
ノートパソコンが欲しい人は注意してください。
* キーボード
キーピッチは 15mm〜17mm とアイソレーションキーボードにしては十分に確保されてい
ます。私自身は特に打ちやすい、打ちにくいとは思いませんでしたが、Thinkpad X200
ユーザーが違和感なく使えるアイソレーションキーボードはそれだけですごいのかもし
れません。ボディの剛性感があるからか、キーボードがたわんだりもありませんでし
た。
個人的にこのマシンが優秀なのは、キーボードの配列です。使用頻度の低いキーは Fn
との同時押しになっており、まるで MacBook のように余計なキーがありません。
このあたりが考えられていないノートパソコンだと、明らかに使いにくいキーボード配
列を用意していたりします。
ただし、私は日本語配列の Elitebook Folio 1020 を持っていないため、日本語配列モ
デルに関する感想は差し控えます。残念ながら Elitebook Folio 1020 の日本語版の資
料は公開されていないようですので、日本語配列が気になる人は姉妹機である
Elitebook Folio 1040 のキー配列をチェックするべきでしょう。
* 重量
標準モデルで 1.2 kg と MacBookAir 並の重量なので、さすがに Thinkpad X200 + 6 セ
ルバッテリよりはかなり軽いです。とはいえ、このマシンは薄いだけに見ためより
ちょっと重いのは事実です。モバイル用途として毎日持ち歩くには覚悟が必要で
しょう。Special Edition なら約 1kg のようですが、私は Special Edition を持って
いないので感想は差し控えます。
個人的にはあまりノートパソコンは持ち歩かないのですが、ノートパソコンの重量が軽
いと家の中でも扱いやすいのでよいです。
* 性能
Core M だから性能が悪いのではと思う人がいるかもしれませんが、それでも Haswell
Core i5並の性能はあります。メモリも標準で 8GB あり、普通の開発作業やブラウジン
グには十分です。CPU 自体は仮想化支援にも対応していますが、仮想化した Linux で
GUI を楽しむような作業には向かないので注意してください。そういう用途には Vaio Z
のようなモンスターマシンを採用するべきです。
このマシンで特筆すべきはストレージの性能です。ストレージの高速性はあまり謳われ
ていませんが、UEFI 画面を抜ければ二秒で OS が起動するほど高速です。これくらいの
起動速度ならば毎日シャットダウンを繰り返すような運用でも問題ないでしょう。
悪い所:
* タッチパッド
Thinkpad X200 のトラックポイントは開発作業にはよいもので、ファンも多いです。し
かし、トラックポイントは移動量が多いと指先に負担がかかります。私はトラックポイ
ントの使いすぎで腱鞘炎になりかけたので、自分の使い方にはトラックポイントが合わ
ないと思いはじめました。そこで、次に購入するノートパソコンはタッチパッドモデル
にしました。
このマシンはタッチパッドの広さは十分確保されており、タッチパッドのさらさらとし
た質感は MacBookAir にも似て操作しやすそうに感じられます。しかし、このタッチ
パッドには物理的ボタンがありません。タッチパッドの下方向を押すと左クリック・右
クリックになります。クリックの反応が良すぎて、シングルクリックがダブルクリック
になってしまうこともよくあります。
Windows 環境ではクリック時にスピーカーから音がなります。微妙です。
Windows 環境ではマルチタッチでの操作に対応していたので試しましたが、これも微妙
です。拡大・縮小はなんとか操作できないこともないですが、スクロールは反応が悪
く、意図せずカーソルが動いてしまったりします。
Linux 環境ではタッチパッドがなぜかマウスとして認識されます。タッチパッド用の設
定が認識されないので、キーボード入力時にタッチパッドが反応してストレスが貯まり
ます。今はテキストエディタの設定でマウスを無効化してしのいでいる状態です。Web
ブラウジングもキーボード中心で操作するように矯正中です。
正直言うと、New MacBook のフィードバック付きタッチパッドが欲しいです。
* 価格(ただし英語モデルのみ)
これは日本 HP 特有の問題だと思いますが、簡単に英語配列にできる Lenovo や Apple
とは異なり、英語配列モデルは完全に別モデル扱いで、しかも英語配列モデルには各種
キャンペーンが適用されないので割高となります。
5/13 日現在、MacBookAir 13 インチ 8GM メモリ 256GB SSD は \148,800 (税抜)です。
5/13 日現在、日本語版 Elitebook Folio 1020 G1 12.5 インチ 8GM メモリ 256GB SSD
は \134,000 (税抜)です。
5/13 日現在、英語版 Elitebook Folio 1020 G1 12.5 インチ 8GM メモリ 256GB SSD は
\173,000 (税抜)です。
実際に比較してみると、英語配列モデルの方が約 3 万円も高価です。残念ながら、英語
配列スキーの未来は暗いです。日本語配列でもよいのなら、MacBookAir よりも安いので
十分魅力的でしょう。
* インタフェースは最小限
お手本となった MacBookAir と同様、インタフェースは最小限しかありません。
勉強会でプレゼンをする人には VGA 端子がないのは不便ですし、
デジカメを使う人には SD カードスロットがないのは困ることでしょう。
いまだに有線 LAN が必要な人もいるかもしれません。
私は有線 LAN, VGA のアダプタを購入しました。
* 画面が一杯まで開かない
ほぼ 180° 画面が開く Thinkpad とは異なり、このマシンの画面は 120〜150° 程度ま
でしか開きません。通常の作業には十分ですが、画面の角度を調整したいときには困る
場合もあります。
* Linux を動作させるにはコツが必要
このマシンに Linux をインストールして開発作業を行いたい人もいるでしょう。
しかし、最近の HP のマシンはデフォルトで Windows 8 以外の OS は拒否される設定と
なっています。起動 CD から Linux のインストールに成功しても起動に失敗してしまう
のです。
以下のドキュメントに書いてある通りに UEFI の設定を変更してください。
えっ、書いてあることの意味が分からない? 残念ながら、そういう人はこのマシンに
Linux をインストールしないほうがよいでしょう。
https://wiki.archlinux.org/index.php/HP_EliteBook_840_G1
その他に注意すべき点としては、GRUB の UEFI のモジュールにはマイクロソフトによる
署名付きと署名無しのものがあるということです。
例えば、Ubuntu は署名付きのモジュールを提供していますが、Arch Linux や Manjaro
Linux 等は提供していません。
署名無しの GRUB をロードさせるためには、UEFI 画面でセキュアブートを無効化する必
要があります。セキュアブートが有効のとき、署名無しの GRUB を読み込ませようとす
ると拒否されます。
まとめ:
もちろんこのマシンは幾つか欠点もあり完璧ではありませんが、
ここ数年の中では名機と呼ばれるポテンシャルを秘めた PC だと思います。
少なくとも私は気に入っています。
ファンレスノートパソコンに興味があるなら、HP Elitebook Folio 1020 をぜひ検討し
てみてください。
2014年8月17日日曜日
編集王(エディットキング) バトルエディターズ 第4話:正義のヒーロー オクセイダー!
第4話:正義のヒーロー オクセイダー!
注意:この物語はフィクションです。実在する人物・団体・ソフトウェア・テキストエ
ディタとは一切の関係がありません。宗教論争をする意図もありません。
注意:この物語を読んだところで、テキストエディタの知識が付くわけがありません。
物語中に存在するテキストエディタのネタはオマージュ程度であり、知っている人がほ
くそ笑む程度のものです。期待しないようにしましょう。
「ルールを守って楽しくエディット!」
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Scene 1
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「しばらく見ないうちに何か、お前の周りはいつのまにか賑やかなことになってんのな」
派戸君が僕の教室にやってくるなり、そう言った。
「僕も実は何が起こったのかよく分からないんだけど……」
「あれ、E 組の遠馬さんじゃないですか、なんで V 組に?」
V 組の女子が興味新々といった風にやってくる。
「俺の Emacs を最強のテキストエディタとするために、今はこの男と行動を共にするこ
とを選んだ。そのなんだ、俺も愛というものを知りたくなってな」
「キャー、それっていわゆる……」
なんか勘違いしているような気がするんだけれど、深く考えることを止めた。
どうやら、この E 組の楠崎遠馬という人と昨日エディットした後に何かあったようなの
だ。今日になってからというもの、この人に付き纏われて困っているという訳である。
「全くもう、追い払えばよいのに。あなたも物好きね」
来夢ちゃんはそう言うのだけれど、彼も悪い人ではないからなぁ。
「それにしても、今日のお前はだらしない。昨日のお前はもっと、こう熱い男だったは
ず」
「いや、そんなことはないと思うよ」
わ、悪い人ではないからなぁ……。
「遠馬君、派戸君、二人とも午後の授業が始まるわ」
「もうこんな時間か。では、さらばだ。また来る」
「修、何があったのか絶対教えてくれよな」
来夢ちゃんのおかげで助かった。誤解が広まるのを防げた気がする。いや手遅れかもし
れない。
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Scene 2
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次の授業は海先生の学級活動であった。
「それでは本日は今度のエディタ祭でやる出し物を決めるぞ。とはいえ、題目はもう決
まっているんだがな。お前達がやるのはエディ劇だ」
クラス全員の大ブーイング。そりゃそうだよね。劇というのは手間がかかるし、特に役
者が大変だ。僕も役に選ばれたくはないし……。こういうときは目立たず、楽そうな仕
事を回されることをじっくりと待つのがよいと相場は決まっている。
「えー、ではまずは役者を決めるとしようか。誰かやってみたい奴はいるか?」
「ハイッ!!」
元気良く手を挙げたのは、奥 清太(おく せいた)君だった。彼は制服を着崩して
ちょっと怖いんだけれど、こういうの好きなんだよね。僕には真似できないや。
「お、清太か。威勢が良いな。では一人決まりと。他にやりたい奴はいないか?」
当然誰も手を挙げようとはしない。
「仕方ない。ここは他人の推薦でも可とする」
推薦かよ……。推薦された人は事実上の死刑宣告ではないか。
とはいえ、平凡な学園生活を送っている僕を推薦するような人なんているわけないよね。
「はい。今回の劇に、ぜひともという人がいるのです」
「来夢さん。それは誰かな」
僕はすっかり安心していた。
「私は修君にぜひとも役者として頑張ってもらいたいと思いますわ」
来夢ちゃんが僕を推薦するだなんて。薄々思ってはいたが、僕に対する彼女の態度はど
こかおかしい。
やはり、来夢ちゃんと以前エディットしたときに何かあったのでは。
記憶が無いのが本当に悔やまれる。
「先生、そこで一つ提案なのですが私が脚本を書いてもよろしいですか?」
「問題ないぞ。どうせ誰かに頼もうとしていたところだ。皆も異論はないな」
拍手で迎えられる。
「では修君を今回の物語の主役、『暗黒美夢王』にしたいのです」
暗黒……美夢王……? なぜかその名を聞いたとき、急に意識が遠くなって……。
「やはり……あなたは」
来夢ちゃんのその声が耳にはっきりと残っていた。
「主役の話はともかくとして、修君そういうことらしいんだが引き受けてもらえるだろ
うか」
「クックック……我を直々に指名するとは面白い。その願い、引き受けたぞ」
我が指名されたとあっては、黙っているわけにはいかないな。
エディ劇が何かは知らないが、我のテキストエディタによってエディ劇の世界も我が制
覇してくれる。
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Scene 3
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その後、同じグループ同士で分かれることとなった。我は当然役者のグループとなる。
脚本の来夢も同じグループのようだ。
「さて、では配役を決めましょうか」
「俺は絶対にコイツを許さねぇ! 主役は俺の物だ」
我が主役ということに、納得がいっていない様子なのは奥 清太であった。
「ほう……主役を得ることに、よほどこだわりがあるようだな」
「俺はエディ劇部に所属しているんだよ。エディ劇には一定の実力がある。主役を、エ
ディ劇に全く興味なさそうな奴にかっさらわれるのには我慢ならねぇ」
「それがエディ劇に対する愛か。よいだろう、それではエディットで勝負するというの
はどうだ。我が勝ったら主役は我の物、しかし我が負けたらそれを譲ろう」
彼の愛がどの程度のものか知るのにエディットはとても効果がある。
エディットをすれば、その者の全てを知ることができるといっても過言ではないだろ
う。我はこれを求めていたのだ。
「それは面白い。言っておくが、俺はエディットも強いぜ? 勝負を挑んだことを後悔
させてやる」
「構わん。むしろ、強くないと困る。我が本気を出せないからな」
「皆さん、落ちついてくださいーー」
我らの並々ならぬ気迫に、他の者が止めに入ろうとする。それを静止したのは来夢で
あった。
「やらせておきましょう。私もちょうどこれが見たかったのだし。修、あなたが本当に
あの時の彼なのか……。確かめさせてもらうわ」
彼女が何を考えているのか知らないが、好都合だ。今は全力でエディットを楽しむとし
よう。
「エディタディスク セット!」
「メインエディタ 実行開始!」
「AR モニター リンク完了!」
「「編集(エディット)!」」
--------------------------------------------------------------------------------
Scene 4
--------------------------------------------------------------------------------
- TURN 1 -
清太:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ sed
修:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
「ほう……エディタは sed なのか。珍しい」
「sed は俺の魂のエディタだ。エディタは小さいものこそが美しい。お前こそ、やはり
Vim を使うんだな」
「ああ、それがどうかしたか」
「vi を使っているお前に親近感を感じていたのだが、なぜ気が変わったのかは聞かない
ことにする。先行は貰うぜ。俺のターン、ロード! 俺はメモリより『find』を実行す
る」
「find の機能を適用。このコマンドをトラッシュに送ることで、ディスクより任意の単
体コマンドを機能を無効化して特殊実行する。『ファインド・コマンド!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|find:コマンド
|戦闘力:200
|機能『ファインド・コマンド』 このコマンドをトラッシュに送る。ディスクより任意
|の単体コマンドを機能を無効化して特殊実行する。
-------------------------------------------------------------------------------
「俺はディスクより『awk』コマンドを特殊実行」
清太:EP 4000 メモリ 5/8 メインエディタ sed
「機能を無効化して特殊実行? これは何かの狙いがあるはずだ……」
「さらに、awk と sed を対象に特殊コマンド『パイプライン』の機能を適用。エクスト
ラディスクより、『編集戦士 オクセイダー』を実行する。AWK と sed の力を受け継ぎ
し戦士よ、今ここに 単体コマンドの矜持を見せよ! パイプライン実行 編集戦士オ
クセイダー!」
-------------------------------------------------------------------------------
|パイプライン:特殊コマンド
|機能『パイプライン・コネクション』 エクストラディスクのパイプラインコマンドを
|選択する。メモリより、選択したコマンドによって決められた単体コマンドをトラッ
|シュに送る。エクストラディスクより、選択したパイプラインコマンドを特殊実行す
|る。
-------------------------------------------------------------------------------
清太:EP 4000 メモリ 3/8 メインエディタ オクセイダー
オクセイダー 戦闘力 1500
「俺はこれでターンを終了する」
- TURN 2 -
清太:EP 4000 メモリ 3/8 メインエディタ オクセイダー
修:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
「初回から切り札の登場か。なかなかやるな。我のターン、ロード!」
単体コマンドを利用したコンボ。ゾクゾクする。この感覚は久しぶりのものだった。
彼は態度に問題があるが、かなりの実力者であることが伺える。
それならば、多少本気を出さないといけない。まずは、
「我はプラグイン『neo-complete』を Vim にインストールする。プラグインをインス
トールしたことにより、我の Vim の戦闘力は 500 アップする」
Vim 戦闘力 1000 → 1500
「『neo-complete』の機能を適用する。コマンドを 1 つトラッシュに送り、戦闘力をこ
のターン 1.5 倍にする。『ネオ・コンプリート・フラッシュ!』」
Vim 戦闘力 1500 → 2250
「Vim でオクセイダーにバトル!」
「くぅ……。やるじゃねぇか」
清太:EP 3250 メモリ 3/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
さて、オクセイダーの機能がよく分からない以上、下手に動くと危険か。
「我はこれでターンを終了する」
Vim 戦闘力 2250 → 1500
- TURN 3 -
清太:EP 3250 メモリ 3/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
「俺のターン、ロードだ!」
「俺は単体コマンド 『sh』 を実行する。sh の機能を適用。EP を 500 支払い、単体コ
マンドを実行する。『シェル・エグゼキューション!』」
清太:EP 2750 メモリ 5/8 メインエディタ オクセイダー
-------------------------------------------------------------------------------
|sh:コマンド
|戦闘力:0
|機能『シェル・エグゼキューション』 EP を 500 支払う。ディスクより戦闘力 500
|以下のコマンドをランダムでメモリ上に特殊実行できる。
|この機能は 1 ターンに一度適用できる。
-------------------------------------------------------------------------------
清太:EP 2750 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
「俺が実行するのは『cp』コマンド。cp コマンドの機能を適用する。このコマンドは選
択したメモリ上の戦闘力 500 以下のコマンドと同じ機能を得る。『コピー・フィー
チャー!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|cp:コマンド
|戦闘力:300
|機能『コピー・フィーチャー』 自分のメモリ上の戦闘力 500 以下のコマンドを一つ
|選択する。このターンの終わりまで同じ機能を得る。
|この機能は 1 ターンに一度適用できる。
-------------------------------------------------------------------------------
「当然、俺が選択するのは『sh』コマンド。『シェル・エグゼキューション!』 EP を
500 支払い、単体コマンドを実行する。俺が実行するのは『mv』コマンド」
清太:EP 2250 メモリ 7/8 メインエディタ オクセイダー
「オクセイダーは自分のメモリ上の単体コマンドの数だけ戦闘力を上げる。単体コマン
ドが 3 つ実行されたことで、オクセイダーの戦闘力は 1500 ポイントアップする!」
オクセイダー 戦闘力 1500 → 3000
「なんだと……」
「バトルだ! オクセイダーで Vim に攻撃する」
清太:EP 2250 メモリ 7/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
「ぐぅ……やるな」
「俺はこれでターンを終了する。これが単体コマンドの力だぜ!」
- TURN 4 -
清太:EP 2250 メモリ 7/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
「クックック……面白い。困難であるからこそ燃える。それがエディットの真髄だ。我
のターン、ロード!」
「我はメモリより、『neo-mru』を Vim にインストールする。プラグインが インストー
ルされたことにより、戦闘力が 500 アップする」
Vim 戦闘力 1500 → 2000
戦闘力は neo-complete の機能を使っても 3000、これではオクセイダーにはダメージ
を与えることができない。ならばせめて、相手の厄介な単体コマンドを破壊する必要が
あるか。
「我は、sh に対して Vim でバトル!」
「それはどうかな」
「何だと?」
「オクセイダーの機能を適用する! このコマンドがメモリ上に存在する限り、相手は
戦闘力 500 以下の単体コマンドをバトルの対象にできない。弱者を守るのが正義の誇り
だ。『オクセイド・シールド!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|オクセイダー:エディタ・AWK・sed
|パイプライン AWK + sed
|戦闘力:1500
|このコマンドはパイプライン実行でのみエクストラディスクより特殊実行できる。
|このプラグインは AWK としても sed としても扱う。
|自分のメモリ上の戦闘力 500 以下の単体コマンドにつき、500P 戦闘力がアップする。
|機能『オクセイド・シールド』 このコマンドがメモリ上に存在する限り、相手は
|戦闘力 500 以下の単体コマンドをバトルの対象にできない。
-------------------------------------------------------------------------------
なんと、このコマンドはそういう機能を持っているとは。厄介極まりないな。
「我は……ターンを終了する」
- TURN 5 -
清太:EP 2250 メモリ 7/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 5/8 メインエディタ Vim
「俺のターン、ロード! 俺はセドンデスの機能を適用する。『セド・ン・デス!』 こ
の機能を使うには sed を実行している必要があるが、俺のオクセイダーは sed として
扱うので問題ない。 メモリ上のコマンドを 1 つ トラッシュに送らせてもらうぜ。
さーて、何がトラッシュに行くかな?」
-------------------------------------------------------------------------------
|セドンデス:特殊コマンド
|sed が自分のメモリ上で実行されている場合、次の機能を適用できる。
|機能『セド・ン・デス』 相手のメモリ上のコマンドを 1 つ、ランダムでトラッシュ
|に送る。
-------------------------------------------------------------------------------
「くっ、我の neo-complete がトラッシュに」
Vim 戦闘力 2000 → 1500
「おっとこれは運が良い。これでお前は俺のコマンドに対する反撃の可能性も無くなっ
たというわけだ」
「俺は sh の機能を適用。EP を 500 支払い、単体コマンドを実行する。『シェル・エ
グゼキューション!』」
清太:EP 1750 メモリ 8/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 5/8 メインエディタ Vim
「俺が実行するのは『rm』コマンド。『rm』コマンドの機能を適用する。1 ターンに一
度、自分のメモリ上のコマンドをトラッシュに送ることで EP を 600 回復する。『リ
ムーブ・ヒーリング!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|rm:コマンド
|戦闘力:400
|機能『リムーブ・ヒーリング』 自分のメモリ上のコマンドを一つトラッシュに送る。
|EP を 600 ポイント回復する。
|この機能は 1 ターンに一度適用できる。
-------------------------------------------------------------------------------
「単体コマンドが実行されたことで当然、オクセイダーの戦闘力は 500 アップする」
オクセイダー 戦闘力 3000 → 3500
清太:EP 2350 メモリ 7/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 5/8 メインエディタ Vim
「さっきからエディットを一人で進められている! このコンボ、我も感心せざるをえ
ない」
「更に俺は、『単体コマンドという考え方』の機能を適用する! 俺のメモリ上の戦闘
力 500 以下の単体コマンドの戦闘力は 500 アップする。『コマンド・ワールド!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|単体コマンドという考え方:特殊コマンド
|「コマンド・ワールド」自分のメモリ上の戦闘力 500 以下の単体コマンドの戦闘力
|を、このターンのみ 500 アップする。
-------------------------------------------------------------------------------
sh 戦闘力 0 → 500
cp 戦闘力 300 → 800
mv 戦闘力 200 → 700
rm 戦闘力 400 → 900
清太:EP 2350 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 5/8 メインエディタ Vim
「単体コマンドの戦闘力を上げる……だと」
いやしかし、この程度では我のエディタの戦闘力を上回ることはできない。意味がない
はずだ。ならば彼には奥の手が?
「俺は『コマンドの結束』の機能を適用する。メモリ上の単体コマンドのバトルをス
キップすることで、オクセイダーの戦闘力を上げる。『ユナイト・パワー!』」
清太:EP 2350 メモリ 5/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 2500 メモリ 5/8 メインエディタ Vim
-------------------------------------------------------------------------------
|コマンドの結束:特殊コマンド
|「ユナイト・パワー」任意の数の自分のメモリ上の単体コマンドのバトルをこのターン
|スキップする代わりに、指定したコマンドの戦闘力をスキップした単体コマンドの戦
|闘力を合計しただけ上げる。
-------------------------------------------------------------------------------
オクセイダー 戦闘力 3500 → 6400
「一つ一つは弱くても、単体コマンドは組み合わせれば大きな力となる。少々戦闘力が
過剰だが、これでお前のテキストエディタは木っ端微塵だ! オクセイダーで Vim に
バトル! 4900 のダメージを喰らうといい」
「『一つ一つは弱くても、単体コマンドは組み合わせれば大きな力となる』、か。それ
はその通りだ」
「お前、なんでそんなに余裕なんだ! これが通れば負けは確定する」
「負ける気がないから……だな。お前がこのターン勝負を掛けることは分かっていた。
我は特殊コマンド『インスタント・ネオ』を適用する。エクストラディスクより、
neo-Vim を特殊実行」
-------------------------------------------------------------------------------
|インスタント・ネオ:特殊コマンド・速攻(クイック)
|機能『インスタント・ネオ・エグゼキューション』 neo と名の付くプラグインがイン
|ストールされている自分のメモリ上の Vim コマンドをトラッシュに送り、neo-Vim を
|エクストラディスクより特殊実行する。このターンの終わりに neo-Vim はトラッシュ
|に送り、Vim を特殊実行する。
-------------------------------------------------------------------------------
neo-Vim 戦闘力 1000 → 1800
「neo-Vim だと、まさか! 遠馬がお前に負けたというのは本当だったのか」
「そのまさかだ! フハハハハ」
「neo-Vim の実行により、このコマンドの機能を適用できる。『暗黒美夢王の嘲笑』。
我が無効にするのは「コマンドの結束」。『ダーク・ラフイング!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|暗黒美夢王の嘲笑:特殊コマンド・速攻(クイック)
|機能『ダーク・ラフイング』 自分のメモリ上に neo-Vim が実行されている場合、
|このターンに適用された相手のコマンドの機能を一つ無効にする。
-------------------------------------------------------------------------------
オクセイダー 戦闘力 6400 → 3500
「くっ、だがダメージは受けてもらうぞ」
清太:EP 2350 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 800 メモリ 3/8 メインエディタ Vim
「俺は……ここでターンエンド」
「『インスタント・ネオ』の機能により実行した neo-Vim はこのターンの終わりに Vim
に戻る」
Vim 戦闘力 1500
かなりギリギリであったが、このターンを凌ぐことができた。
次で勝負を決めるしかないな。
--------------------------------------------------------------------------------
Scene 4
--------------------------------------------------------------------------------
- TURN 6 -
清太:EP 2350 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 800 メモリ 3/8 メインエディタ Vim
「我のターン、ロード!」
「我はプラグイン『neo-shell』を Vim にインストールする!」
「そして『neo-mru』の機能を適用する。前のターンにトラッシュに送ったコマンドを復
活させる。我が復活させるのは『インスタント・ネオ』だ。『ネオ・リーセント・エグ
ゼキューション!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|neo-mru:プラグイン・Vim
|機能『ネオ・リーセント・エグゼキューション』
|前のターンにトラッシュに送ったコマンドかプラグインを特殊実行またはインストール
|する。この機能は1 ターンに一度のみ適用可能である。
-------------------------------------------------------------------------------
「我は特殊コマンド『インスタント・ネオ』を適用する。エクストラディスクより、
neo-Vim を特殊実行」
「neo-Vim に neo と名の付くプラグインがインストールされている場合、1 つにつき戦
闘力が 800 アップする!」
neo-Vim 戦闘力 1000 → 2600
「更に、我はVimにインストールした『neo-shell』の機能を適用! メモリ上のコマン
ドを選択することでこのターンの戦闘力をそのコマンドの戦闘力と同じだけ
アップさせ、同じ機能を得る。『ネオ・プロセス・エクステンション!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|neo-shell:プラグイン・Vim
|このコマンドは「neo-Vim」上にインストールされている場合、次の機能が実装される。
|機能『ネオ・プロセス・エクステンション』
|自分のメモリ上の単体コマンドを選択する。このターン終了まで、そのコマンドの戦
|闘力とその機能を得る。その選択した単体コマンドが実行されていない場合、実行され
|る。この機能は 1 ターンに一度しか使用できない。
-------------------------------------------------------------------------------
「何、お前も単体コマンドを扱うというのか」
「そう。プラグインによる Vim の拡張には限界がある。そこで我は単体コマンドの力す
ら Vim に取り込むことにしたのだ。Vim をシェルとして扱う、それが我の辿りついた単
体コマンドのやり方」
「そ、そんなの邪道だ、邪道に決まっている! なんて気持ち悪い。コマンドが悲しん
でいるはずだ」
「邪悪で結構。我の名は暗黒美夢王、闇の力でテキストエディタを支配する者だ。覚え
ておくがよい!」
「我が選択するのは『mv』コマンド! 戦闘力は 200 アップする」
清太:EP 2350 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 800 メモリ 4/8 メインエディタ Vim
neo-Vim 戦闘力 2600 → 2800
「『mv』コマンドの機能を適用する。EP を 600 ポイント支払い、自分のトラッシュに
ある単体コマンドを特殊実行する、もしくはプラグインをエディタにインストールでき
る。『ムーブ・トラッシュ!』」
-------------------------------------------------------------------------------
|mv:コマンド
|戦闘力:200
|機能『ムーブ・トラッシュ』 EP を 600 支払う。自分のトラッシュにある単体コマ
|ンドを特殊実行する、もしくはプラグインをエディタにインストールできる。
|この機能は 1 ターンに一度適用できる。
-------------------------------------------------------------------------------
「我がトラッシュよりインストールするのは、当然『neo-complete』。neo-complete
がインストールされたことにより、戦闘力は 800 アップ!」
neo-Vim 戦闘力 2800 → 3600
清太:EP 2350 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 200 メモリ 5/8 メインエディタ Vim
「neo-Vim に neo-completeがインストールされている場合、neo-complete の更なる機
能が解放される。メモリ上のコマンドを二つトラッシュに送ることで戦闘力は 2 倍にな
る!」
-------------------------------------------------------------------------------
|neo-complete:プラグイン・Vim
|このコマンドは「neo-Vim」上にインストールされている場合、次の機能が実装される。
|機能『ダブル・コンプリート・フラッシュ』
|メモリ上のコマンドを二つトラッシュに送る。このターン終了まで、このプラグインを
|インストールしたテキストエディタの戦闘力は2倍となる。
|この機能は 1 ターンに一度しか使用できない。
-------------------------------------------------------------------------------
清太:EP 2350 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 200 メモリ 3/8 メインエディタ Vim
neo-Vim 戦闘力 3600 → 7200
「これで最後だ! 『ダブル・コンプリート・フラッシュ!』」
「ぐぁああああああ!」
清太:EP 0 メモリ 6/8 メインエディタ オクセイダー
美夢王:EP 200 メモリ 3/8 メインエディタ Vim
--------------------------------------------------------------------------------
Scene 5
--------------------------------------------------------------------------------
エディットを終えた我らには、最初に存在したギスギスした雰囲気はもう存在しなかっ
た。我々はテキストエディタを通じて語り合ったのだ。
「ひっでぇな。負けちまったよ。俺は」
「お前はよくやった。まぁ、我の方が一枚上手だったがな。クックック」
「かなり危なかったくせに言ってくれるぜ。とはいえ、約束は約束だ。エディ劇の主役
はアンタのものだ」
我はそれに関して、ずっと考えていたことがあった。
「そうだな。約束は果たさねばならない。来夢、脚本を変更してもらえるだろうか。彼
に主役をやらせてほしい」
「なん……だと。正気か?」
「えっ、それは良いけれど……頼んでみるわ」
「頼む?」
彼女がシナリオを書くのではなかったか。何を頼むというのだろう。
「いえ、こっちの話よ」
「我は悪役をやってみたくなったのだ。暗黒は闇、絶対的な悪こそが我に相応しい」
「修……いや、暗黒美夢王、お前は」
「奥 清太といったな。機会があればまた相手になってやる。だがその前に、エディ劇
とやらを成功させようではないか」
「おう、任せな! お前の演技は俺がビシバシと鍛えてやるぜ」
「あんなに仲良くなって。男の考えることはやはり分からないわ」
--------------------------------------------------------------------------------
Scene 6
--------------------------------------------------------------------------------
それで結局、エディ劇はどうなったかというと……。
暗黒美夢王は人々に無理矢理 Vim をインストールして Vim 使いにしてしまうという悪
事を働いていた。
そして今日も……。
「キャー!! 暗黒美夢王よ! Vim をインストールされてしまうわ」
「お、俺にエディタをインストールしても、Vim の力には屈しないぞ」
「フハハハハ……!! 逃げても無駄だ! 世界の全てを闇のエディタの力で染めてみせる!」
「そうはさせないぜ」
「お前、何奴だ!」
「編……集! エディタの平和を守る正義の戦士、『オクセイダー』」
マントを翻し現れたのは仮面を付けた戦士であった。
「ほう……お前が我の宿敵『オクセイダー』か。こんなところで会えるとは我も運が良
い」
「正義は負けない。うぉぉぉぉぉぉぉ!」
(電子音)オクセイド・スラッシュ!
「我も本気を出すとしよう。『neo-complete』を我にインストール! 機能を適用、
『ネオ・コンプリートフラッシュ!』」
自分には演技の際の記憶がないのだが、これは相当に評判になったらしい。
これのおかげで、僕は他の人からも暗黒美夢王と呼ばれる始末で……。
僕はもっと普通の生活が送りたかったはずなのに。さようなら僕の平凡な日々。
そしてこの劇が新たな出会いを生み出すことに僕はまだ気付くことはなかった。
今日のバトルエディターズ豆知識:
単体コマンドはそれぞれが戦闘力と固有の機能を持つ。単体コマンドは戦闘力は低い
が、手数の多さと展開の早さが長所となる。舐めてかかると痛い目を見るだろう。
戦闘力が上回れば単体コマンドを破壊することができる。しかし、単体コマンドを破壊
しても EP へのダメージにはならない。エディタへのバトルが可能ならば、エディタへ
のバトルを優先するべきである。
(「第5話:バイナリアンの襲来」に続く……)
2014年8月3日日曜日
momonga.vim #6 の感想
※:今回は暗黒美夢王語と日本語の二ヶ国語でお送りします。
皆の者、よくぞこのページを見てくれた。我の名は暗黒美夢王である。Shougo ? 誰だ
それは。感想を書くまでが momonga.vim らしいので、今回は momonga.vim #6 の感想記
事を書く ことにした。
我のことをよく知る者なら当然知っていると思うが、我が勉強会に参加するのは半年以
上ぶりである。なぜこれまで、我が参加できなかったかは色々あったので省略する。
人はテキストエディタを考えるだけでは生きていけないのだ……。
しかし今回は C++ 暗黒の軍団の一人として名高い江添氏が参加されるということで、
これは我も参加するしかないということで、滑り込んだわけである。
我のもくもくの成果は vimfiler の修正と、neocomplete の include 補完の分離であ
る。vimfiler の修正は完了したが、ちょっと変更量が多いので様子を見るためまだ
push できていない。include 補完に関しては、未完成である。
江添氏と会うのは初めてであったが、自分の信念をしっかりと持っている人だと感じ
た。もっと対談的なものをやってみたかったが、もくもく会だったので仕方ない。
懇親会?会場の妖怪ハウスでは、江添氏特製のピザをご馳走になった。氏には今回の勉
強会でもいろいろと差し入れをしてもらったり、かなりお世話になった。
最後まで忘れていたが、Vim スクリプトテクニックバイブルがようやく発売されたよう
である。Vim スクリプトテクニックバイブルを会場まで持ってきている者がいたので、
宣伝に使用させてもらった。この本は光の Vimmer も闇の Vimmer もどちらにも役立つ
ようにし たつもりだ。書店で見掛けたらぜひ購入の検討もお願いする。
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日本語
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みなさん、こんにちは。このページを見てくれてありがとうございます。私は Shougo
です。暗黒美夢王? 誰ですか。それは。momonga.vim #6 に参加したのですが、感想を書
くまでが momonga.vim らしいです。今回は momonga.vim #6 の感想記事を書くことにし
ました。
皆さんは知っているかもしれませんが、私が前回勉強会に参加したのは半年以上前です。
なぜこれだけ間が空いてしまったのかについては、色々あるので省略します。
人は残念ながらテキストエディタだけで生きることは難しいのです。
今回は C++ のすごい人として有名な江添さんが参加されるとのことで、私も参加するし
かないと思いました。
私の今回の成果は vimfiler の修正と、neocomplete の include 補完の分離です。
vimfiler の修正は完了したのですが、ちょっと変更量が多すぎて push には様子を見な
いといけません。include 補完に関しては未完成で、公開までは遠いです。
江添さんと会うのは初めてでしたが、自分の信念をしっかりと持っている人だなと感じ
ました。江添さんとはもっと対談的なものをやってみたかったのですが、今回はもくも
く会だったのでそれはかないませんでした。懇親会?会場の妖怪ハウスでは、江添さん
特製のピザをご馳走になりました。江添さんには会場の提供だけでなくいろい ろと差し
入れをしてもらい、かなりお世話になりました。ありがとうございます。
最後まで忘れていたのですが、私も執筆を行った Vim スクリプトテクニックバイブルが
ようやく発売されたよう です。Vim スクリプトテクニックバイブルを会場まで持ってき
ている人がいらっしゃったので、宣伝に使わせてもらいました。ありがとうございま
す。この本はプラグインを書く人も書かない人も役立つ内容になったと思います。書店
で見掛けたらぜひ購入の検討をしていただけないでしょうか。
2014年7月11日金曜日
「Vim script テクニックバイブル ~Vim使いの魔法の杖」について
この書籍に関しては mattn 氏が既に紹介しているので、できるだけ被らない情報を出していくことにするぞ。
最初に注意してもらいたいが、これは「純粋な Vim script の学習のための本」であ
る。よって、Vim プラグインについては一部を除き全く取り上げていないので注意する
ように。Vim プラグインについて知りたかったら、前作である「Vim テクニックバイブル」を参照するのだ。もちろん、書籍中に暗黒美夢王が登場したりといったサプライズもないぞ。
これまで Vim script を学ぶ修行というのは険しく、辛いものであった。
我も「闇の Vim の使用法を極める」という職業柄、他人より「Vim scriptを学ぶにはど
うすればよいか」を聞かれることがあ り、その度に苦しんだ。我が Vim script を学ぶ
ことができたきっかけは Vim plugin を書いたからである。その上で、徐々に知識を
アップデートしていったのだ。
Vim script の知識は Vim plugin や Web, :help で吸収することができる。
しかし、 Vim plugin のソースコードや Web の情報は初心者には正しいかどうか分から
ないし、:help は内容が正確だが分かりにくい。
この書籍は執筆時点での最新版である Vim 7.4 に対応しているうえに執筆陣は大ベテラ
ンなので極めて信頼のおけるものである。「Vim script を学ぶためのとっかかり」と
なり、「迷ったときにすぐに戻ってこれる」ものとなるだろう。
これより、内容の紹介に移る。
第一章は Vim script の基本を解説している。紹介している事項は極めて基本的なもの
であるが、読者が Vim script について全く知らない場合は、ここを読むだけでも勉 強
になるであろう。
第二章は Vim script の実行方法と一通りの文法を解説している。第一章と同じく、初
心者には極めて有用な章である。
第三章は応用編となる。silent, execute, マッピングなど、Vim script を書く上
で重要なテクニックについて紹介している。これは本格的に Vim plugin を書きたい場
合に必要となる知識だ。
第四章は Vim script の実行方法である。Vim script はどのようにして実行されるのか
を知ることができる。キーマッピングや補完についても解説されている。
第五章は簡単な Vim plugin を作成し、これまでの復習を行う。
第六章は組み込み関数リファレンスである。Vim script でよく使われる関数をまと
め、:help に載っていない Tips 情報をできるだけ紹介した。これは書籍にしかできな
いことであり、この本はこの章だけでも購入する価値があるはずである。
ちなみに、Vim script のよく使う関数しか解説していないにもかかわらず、この章だけ
で 40 P を越えている。
第七章は上級編である。Vim script のデバッグ情報、高速化の方法、最小構成の作り
方、Web API を Vim から使う方法、vimproc、外部インタフェースについてなどが載っ
ている。
mattn 氏も書いているように、この書籍の執筆には KoRoN 氏の尽力が必要不可欠であっ
た。KoRoN 氏がいなければ、この本が出版されることはなかったであろう。我からも、
ここに感謝の意を表明しておきたい。
さて、豪華な執筆陣と確実な内容、賢明な読者は値段が気になっているのではないだろうか。
「でも、お高いんでしょう?」
「こんなにも内容が充実した書籍がなんと 2786 円(消費税 8% 税込) !」
消費税が上がり、世知辛い世の中になんと 2786円(消費税 8% 税込) なのである。
前作の Vim テクニックバイブル(3218 円:税込)よりも安く、値段が 3000 円を余裕で切ってい
るのはもはや脅威だ。個人的には 3000 円を切るか切らないかで書籍の購入のための心
理的障壁がかなり異なる。特に学生にはこの点が重要となるだろう。
これを読んでいる君、悪いことは言わない。この書籍の発売後には書店へ急ぐべきである。そして我の言っていることが真実であるのかどうか、その目で確かめてほしい。