この本の原著は「Practical Vim」と言います。Vim 界の一部で有名で、貴重な Vim の書籍であるため、原著を私は入手しています。
この本のコンセプトは、「Vimの基本機能を丁寧に解説する」ことにあります。Vim の書籍はこれまでにもいろいろ出ていますが、「ViIMproved‐Vim完全バイブル」は記述が古すぎますし、「入門 vi/Vim」は vi の部分の解説が多すぎます。「Vimテクニックバイブル」はプラグインの解説に特化している……と Vim の基本をマスターしたい人にはなかなか良い選択肢がありませんでした。
しかし、「実践 Vim」はそのような本を求めていた人に是非お勧めしたいです。
「Vimの基本機能を解説する」といっても、舐めてはいけません。
Vimの基本機能というのはとても膨大です。「俺は Vim の :help をマスターしている」「俺は Vim である」「Vim は家族である」「マイフェイバリット言語はVim scriptだ」という一部の変態 Vimmer を除き、大抵のVimmer には新たな発見があることでしょう。
Vim の本なので、例えばこういった解説があります。
- バッファリスト
- ウインドウリスト
- タブページ
- 引数リスト(:args)
- 唐突に現れる Vim Ninja(P.170)。ちなみに原著にも登場。
- テキストオブジェクト
- ジャンプリスト/変更リスト
- レジスタ
- マクロ。なぜか一章 25P がまるまるマクロなので、某マクロ漁船な人も安心。
- quickfix
全体的に解説が丁寧なので、:help の無味乾燥な解説で挫折した人も Vim に再挑戦することができるでしょう。レビューするために一通り読んでみましたが、日本人の Vimmerがきちんとレビューしているので、記述がおかしい部分もありません。よくできた本です。
他に注目すべきポイントとしては、この本の著者が kana 氏のプラグインに感銘を受けていることでしょうか。kana 氏のプラグインは日本では有名ですが、外国ではマイナーなので、これは驚くべきことです。
この本を読んで、この本はほとんどプラグインについて触れていないので、物足りないと感じる人がいるかもしれません。大丈夫、そういう人のために「Vimテクニックバイブル」があるのです(宣伝)。しかし、「Vimテクニックバイブル」も Vim script に関してはほとんど解説できていないという欠点があります。皆さんが Vim の本や Vim 特集(エディタ特集)の雑誌を購入してくれれば、きっと出版社も「Vim script本はマニアックだけど需要があるからいける」という感触を持ってくれるはずです。ぜひ Vim 本(エディタ本)を応援してあげてください。
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